プレファレンスとは、消費者のブランドに対する相対的な好意度(簡単に言えば「好み」)(P22)
主にブランド・エクイティー、価格、製品パフォーマンスの3つによって決定されている。
市場構造を決定づけているDNAは、消費者のプレファレンスである。
NBDモデルの数式にある「M」の意味(P58)
Mは選ばれる確率そのもの。
例)AKB総選挙で、推しメンA子ちゃんへの総投票数を総人口(投票しなかった人も含めて)で割ったもの。
投票しなかった人を含めた総人口で割るのは、投票しないという選択を含めないと市場全体の確率を正しく計算できないから。
市場全体における自社ブランドの「M」を増やす時の注意点(P64)
新規顧客を獲得しようとして増強したプレファレンスが、既存顧客のプレファレンスを毀損しないようにすること。あくまでも自社ブランドのプレファレンスの総和としての「M」を増やす選択をとり続けること。
例)USJの当初のブランド戦略「映画だけのテーマパーク」から「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」に転換した
→「映画だけのテーマパーク」が大好きだったかつてのファン層も離れていないことが確認できている。
ゴールから逆算して考える(P98)
戦略は必ず達成したい目的付近の地景を明確にしてから逆算で組んでいく。そうしないと、あらゆるムダな道に迷い込んで時間と労力を消耗するだけでなく、正しい戦略にたどり着かなくなる恐れも大きい。
まず目的を設定したあとに、目的達成時と現在のギャップを定量化しながら徹底的に想像する。目的に到達するために、市場全体の中で新たに獲得すべき「M」の数量を明確にする。その「M」の票田として消費者ターゲットは誰を狙うのが正しいのか、必要なプレファレンスの増加を実現するドライバーはどれとどれが必要で、それらはそれぞれどういう値になっていなくてはならないかを考えていく。
登りたい壁があるなら、まず足場を作る技術が必要(P101)
高い壁があった時に一気に壁を飛び越えることしか考えられない人は、無理だと思ってあきらめる。そのような人は、階段(=戦略)を作る方法を知らないだけ。目的が高いところにあっても、目的から現在を逆算して、巧みに足場を組んでいく技術があれば、ガウス(天才数学者。完成された「美しい数式」しか公表しない)のようにたどり着ける。どれだけ壁が高くても、階段さえ作れば必ず登れる。まずはそれを信じること。
今西聖貴さんが大切にしている言葉(P297)
1.「人生は、確率」
「できることは確率を上げること、結果に対して悔いはない」。常にこのような姿勢でいろいろなことに臨んでいただきたい。起こったことは変更できない。変えることができるのは未来のみ。これは「人事を尽くして天命を待つ」に近い。ただ人事を尽くす過程で、目的に対する確率の概念を考慮して選択するよう心がけていただきたい。
2.「判断に迷った時は、目的を明確化する」
人は知性を持ってしまったがゆえに、選択に迷い苦しむ。そのような時には、目的に立ち返ろう。自分の人生の重要な目的を自分以外の誰かに決めさせてはいけない。自分でよくよく考えて明瞭にしてほしい。目的が定まれば、目的に対して純粋に確率が高くなる選択肢を選ぶ。
3.「物事や問題の本質を見極める」
物事の多くは「現象」なので、考えない限り本質はなかなか見えるものではない。本質を見極める方法は、極端な状況を思い浮かべること、あるいは自分と関係のない状況に置き換えて考えてみること。不思議と本質が見えてくる。