怒りは「困ってしまった自分の心の悲鳴」ととらえる(P53)
この視点の転換はコントロールを取り戻すのに大きく役立つ。
相手に伝えるべきは「どうしてほしいか」であり、「自分がどういう評価をしているか」ではない(P91)
現在問題になっている行動だけに注目する(P92)
相手に伝える時に「いつも」「全然」という言葉が出てくる時は、人格批判になっているので要注意。
アドバイスは全般に、相手の領域に立ち入るもの(P104)
そもそもアドバイスには常に毒がある。
アドバイスというのは、「現状はよくないからこう変えた方がよい」という性質のものなので、常に相手の現状を否定するニュアンスがある。
自分の領域への相手の侵入を許さない(P105)
相手のアドバイスを「侵入」ととらえないようにするには、アドバイスを「単なる心の悲鳴」と受け止めるとうまくいく。
こちらの領域に「侵入」されたのではなく、相手は相手の領域の中で悲鳴を上げているに過ぎない、と考えると自分の領域は守られる。
「心配してくれてありがとうね」と言えばよい。もちろん相手の言う通りにする必要はないし、怒る必要もなくなる。
「被害者」をやめれば怒りを感じない(P112)
怒りは「ひどい」という思いを反映した感情、つまり、自分が何らかの形で被害に遭っていることを知らせてくれる感情。
「予定狂い」も一種の被害だし、「心の傷」を反映した怒りは、明らかに被害者意識と一体化している。
怒ってしまった怒りをどうするか、以前にそもそも自分は本当に被害者なのか、ということを検証してみる(P112)
そうすればムダに怒らずにすむ。それが習慣になると、だんだん怒りにくくなる。怒ってから手放すよりも、そちらの方がはるかに楽。
(例)ふたりで会っている時に、携帯で長電話されてムカついた(P116)
私たちは出来事そのもの(相手の長電話)によって傷つくわけではなく、自分がそこに乗せるストーリー(自分が粗末にされた)によって傷つくことがわかる。相手が長電話したとしても、そこに「自分が粗末にされた」というストーリーを乗せなければ自分は傷つかないのだから、自分が傷つくかどうかを最終的に決めるのは自分。
ストーリーを手放すには(P118)
「私は粗末にされた」という考えが浮かんでくることそのものはかまわない。
「それを確信しないようにする」ということだけ意識しておけば大丈夫。
確信するだけの証拠はないのだから、証拠が固まるまでは断定しない、ということにする。
自分が被害に遭った、と思うたびに「そう断言できるほどの証拠が揃っているだろうか?」と考える習慣を身につけよう。
(中略)
「確信できることなどほとんどない」ということに気づくと、確実でもないものを断定して怒る、というプロセスがとても不毛であることに気づく。
「証拠が固まったら怒ろう」と思っていると、結局のところ怒る機会はまずやってこないので、怒りが保留できるようになり、怒らない人になっていく。
「評価」は相手も自分も傷つける(P120)
現実に乗せてしまう自分の「ストーリー」とは、現実に対して自分が下している評価に他ならない。
(中略)
「怒りのあるところには評価がある」と言える。怒りを手放したいのなら、「評価するクセ」を手放していく努力をしていく必要がある。
自分が「被害者モード」に陥っていることに気づくためには、「身のまわりをきちんとする」のがお勧め(P135)
机の上を整頓するとか、靴を揃えるような、ちょっとした手間でよい。
それすらできない、「それどころではない!」と感じる時は、自分が「被害者モード」に陥っている時。それに気づかせてくれる。
人生全般を「やらされている」という「被害者モード」になっていると、日々怒りを感じやすくなる。
できるだけ「被害者モード」の時間を減らしていくことが、「怒らない生き方」のための大きなステップになる。
「忙しくて大変だ」といったストーリーは、すべて「被害者モード」から生み出されている=「人生を主体的にコントロールできない」「ふりまわされている」と考えるとよくわかる。
イライラしている自分に気づいたら、そこで深呼吸して丁寧に靴を揃えてみよう。そうすることで「被害者モード」から「主体性モード」に気持ちが切り替わる。
「主体性モード」は「予定狂い」のイライラにも効く(P137)
ものがなくなるというのは究極の「予定狂い」。常に身の回りを整理しておけば、必要なものがなくなるということも防げる。
あまりにも身のまわりが散らかりすぎていて、きちんとするには時間がかかりすぎる、と放置している人は、ここでの目標を「きちんとした環境で生活する」ではなく「人生に主体的に関わる」という方に置いてみるとよい。
すぐには片づけられなくても、「使ったものぐらい戻そう」と主体的に動くことで、他人にやらされている、自分ではコントロールできない、といった「被害者モード」から抜けられる。
「使ったもの」への感謝の気持ちを込めれば、さらに効果的。感謝の気持ちは、被害者意識とは対極にあるから。
余裕があれば人間は感情的に怒ったりしない(P150)
つまり、相手の悲鳴には違いない。「相手は何に困っているのだろう」と考えよう。
人をバカにする人は苦しい生き方をしている(P152)
イライラした人は「やり手」タイプも多く、周りの人をバカにしたりしがち。
ただこれは当たり前で、評価を下す生き方をするから、周りの人をバカにしたりイライラするのだ。それは単なる「苦しく、不健康な生き方」なだけ。
イライラした相手には「まあそんなに不健康な生き方をしなくても」というくらいのゆったりした気持ちで向き合っていればよい。気の毒だと思えば「はい、わかりました」とやさしく言ってあげることもできる。