あきらめてそのままになっていたところ、家族が借りてきたので喜んで読んだ。かなりの力作で読みごたえがあった。
◆目次◆
はじめに
1章 前進するフレームワークとしてのPDCA
2章 計画初級編:ギャップから導き出される「計画」
3章 計画応用編:仮説の精度を上げる「因数分解」
4章 実行初級編:確実にやり遂げる「行動力」
5章 実行応用編:鬼速で動くための「タイムマネジメント」
6章 検証:正しい計画と実行の上に成り立つ「振り返り」
7章 調整:検証結果を踏まえた「改善」と「伸長」
8章 チームで実践する鬼速PDCA
おわりに
著者は野村證券を経て独立。入社1年目からトップの成績を上げる、と目標を定めてほぼそのとおりの成果を上げてきたという。その助けになったのがこの「鬼速PDCA」だ。
著者がPDCAを始めたきっかけは大学3年生の時の就活セミナーだそうで、そこから試行錯誤を繰り返して練り上げたもの。著者は「まったくの我流」と書かれているが、ビジネス書に書かれているさまざまなメソッドが取り込まれ、この通りできれば人生が加速しそうだ。
PDCAが「前進を続けるためのフレームワーク」である限り、それを、高速を超える「鬼速」で回し続けることで、会社、部署、そして個人が圧倒的なスピードで成果を出し続けることができる。さらに、前進していることを実感することで自信が湧き、モチベーションにドライブがかかり、さらにPDCAが速く回る。
これが鬼速PDCAの真髄である(P4-5)。
著者はビジネスだけでなく、人生全般にこの手法が使えると書いている。
もともと、人は無意識にPDCAを回しているのだという。好きな女性をデートに誘うのでも、ランチをどこに食べに行くかを決めるのでも、実はPDCAを使っているのだとか。
だから、この技法を磨けば、ありとあらゆることに速く結果を出す人になることも夢じゃない。
PDCAは対象を選ばない。
上司や部下との関係を良くする、日々の時間の使い方の無駄をなくす、人脈を増やす、プレゼン技術を高める、交渉力を強化する、家族サービスの質を高める、恋愛上手になる、趣味で上達するでもいい。
(中略)
ゴールを定め、そこへの最短距離を探りながら前進を続けるための原動力となるのがPDCAである。個人レベルで、そしてプライベートな目標でも積極的に活用できるのである(P30)。
もちろんメインは仕事で使うことだが、単なるマネージメント手法として捉えがちなPDCAを、著者はビジネススキルとして考えるよう提案している。
…「PDCA力」をビジネススキルとして考えたらどうだろうか?
(中略)
PDCAは対象を選ばない。どのような業界、どのような業種であっても応用できる。これほど万能なビジネススキルは存在しないと言っていい(P23)。
このように、著者が使っている「鬼速PDCA」は、一般的なPDCAよりも深く、濃いものだと言える。
印象に残ったのはPDCAのAが「ACTION」ではなく「ADJUST」ということ。調整して、また次のサイクルを始める。
また、毎回Pから始めなくてもいいし、きっちり最初に計画を立てておけば(=P)、Aを経て次のD、となるのがいいPDCAなのだそうだ。
こんな風に、著者が試行錯誤を続けて洗練された方法なので、「PDCAなら知ってるよ」という人にこそ読んでもらいたい。
付録として出版社のサイトから鬼速PDCAのためのシートがダウンロードできるようになっている。
その中に、原田隆史先生の講演を聞いて作ったというチェックシートがあった。
著者は「実践」できる人なのだ。
本を読んでもそこから行動に移し、習慣化できるのはわずか5%と聞いたことがある。
それができる人だったから、これだけ結果を出し続けているのだ、と感じた。
個人的には、「DOとTODOの違い」というところが、チャンクダウンの重要性をいろんな本で説かれても実行できなかった弱点をクリアできそうでありがたかった。
KGI、KPIなど略語が多かったり、この本ではこういう意味で使う、と定義される用語が多かったり(ラップタイムなど)、ちょっととっつきにくい点もある。
また、PDCAを順番に教えてくれる作りにはなっていないので、いざやろうと思ったらどこを見ていいかわからない、になりそうなのが気になった。
例はすべて、組織の場合と個人の場合の両方が出ているのでわかりやすい。
ただ、組織の場合は要素が増えるので、まず個人で取り組んでみるほうがやりやすそうだ。
人生を高速化したい人、充実させたい人は必読です。
私のアクション:DO→TODOに噛み砕くことを意識して計画を立てる
■レベル:破 手取り足取り、のマニュアル本ではないので「破」にしました。
次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
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