この本を知ったのは、去年の暮れに読んだ小川糸さんの『これだけで、幸せ』のうしろに出ていた広告。ずいぶん前に『シンプルに生きる』*1を読んで刺激を受けたことを思い出して読んでみた。
さすがは禅が好きで日本にも住まいがある著者らしい、すがすがしい本だった。
◆目次◆
はじめに
第1章 「小さな住まい」という贅沢
第2章 「孤独」のない人生に喜びはない
第3章 宝石のようなわが家を持つ人々
第4章 日本に息づくシンプルな美に学ぶ
第5章 上質に暮らすインテリアの知恵
第6章 幸福のためにお金を投資する秘訣
第7章 魂を満たすシンプルな生き方
第8章 引っ越しという人生の賢い選択
おしまいに
まず驚いたのは、扉にある
あなたの家は、
そこにいるだけで幸せを感じ、
エネルギーが湧いてくるような
家でしょうか?
それとも反対に
エネルギーが奪われていく
気がしますか?
という言葉。
家でエネルギーを回復させるとか、家のせいでエネルギーを奪われる*2という考え方がまったくなかったので、とても新鮮に感じた。
大きな家の方がエネルギーを奪うことが多いそうだ。ローンなど費用の面でもそうだし、“手間がかかる”という意味でも。
確かに、小さな家で暮らせるなら、掃除も簡単だし、ものもそんなに置けないので「あれはどこに行った?!」というリスクも減る。
何より、人間も動物なので、巣のように狭いスペースの方がエネルギーを回復できる、というのだ。
著者が訴えているのは、「広い家が本当に必要ですか?そこに住んで幸せですか?」ということ。
「家は広い方がいい」「ものはたくさん持った方がいい」というのは、実は広告などで押し付けられた価値観かもしれない。
あなたにとってベストの広さは実は違うかもしれませんよ、という言葉にハッとする。
また、物理的な話だけでなく、人はすべて「孤独」を知っていた方がいいそうだ。ひとりぼっち、という悲観的な考えではなく、積極的な「孤独」。著者は孤独を知ることは人生で大切であり、大きな喜びだと説いている。
著者は結婚も自立した2人がするのがベストと考えているようで、それぞれが自分の小さな家を持ち、そこを行き来する結婚を提唱していた。
そこまで極端な生き方を選ぶことはできなくても、孤独に慣れておく、「ひとりだと何もできない」ではなく、ひとりの時間も大切にできる方が、生きていきやすい気がする。
人生は不変ではないので、今後起きるであろうさまざまな状況*3に柔軟に対応するためには、家は小さく持ちものも少ない方が身軽でいい、という言葉は響いた。確かに、大きな家だと引っ越したり生活を変えるのには大きなエネルギーが要る。
「心軽く、柔軟に生きるには大きな家より小さな家」というのは、去年実家を処分して小さいマンションに引っ越した両親を見て痛感した。
第5章では、実際に小さな家に住むためのアイデアが具体的に書いてあるが、やはりちょっと日本人の感覚とは違うかな、という印象。
もともと、著者の本には精神的なことを期待していたので、それでも充分満足だった。海外の本によくある、さまざまな言葉の引用も素晴らしく、こんな心持ちで暮らしたい、と思った。
最後に出てくる京都の女性のことば。
「自分でできることはできるだけやっていき、あとはなるようにしかならないわね、明日は明日の風が吹くわ」(P236)
長く続けていたお店をたたみ、子どもが居ないので小さな家に引っ越してひとり住まいを始めた時のひと言。こんな境地になりたいと思う。
「小さな家」と聞いてポジティブなイメージが湧く人は読んでみてください。やる気が出てきます。
シンプルライフの具体的なノウハウ本ばかり読んで疲れちゃった、という人に特におすすめです。
私のアクション:「ものが少なければ、禍も少なし」*4を口ぐせにする
■レベル:破 ※「自ら選んで小さな家に住む」のはちょっと変わった生き方だと思うので。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
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※「シンプルブーム」を引き起こした著者の本