いろいろと学びの多い本だった。
◆目次◆
はじめに
第1章 教養人の話し方は、なぜわかりやすいのか
第2章 教養人が使っている「わかりやすさ」10の技術
第3章 あなたの周りの「教養バカ」7つのタイプ
第4章 語彙力こそが「わかりやすさ」である
第5章 【脱・思考停止】「わかりやすさ」にダマされるな
第6章 心に刺さるフレーズのつくり方
竹内さんは理系なのにとても話がわかりやすく、たまに情報番組でコメンテーターとして出演されているのをお見かけするとうれしくなってつい見てしまう。
そのコメント力の秘訣が何かわかるかな、と期待して読んだ。
本書は、これまでの教養本とは、一線を画すものになるでしょう。
なぜなら知識を詰め込むのではなく、知識の伝え方をみなさんに伝授することになるからです。
「わかりやすさ」を極めることで、あなたの中にも変化が起こるはずです。それは、知識の羅列から、ストーリーテラーへの変化。教養のある人にとって、ゴールは、自分の知識をひけらかすことではありません。相手に伝わることなのです(P22)。
『教養バカ』というタイトルはかなり刺激的で、「はじめに」ではうんちくを語るようなタイプの知識人をかなりこき下ろしているので大丈夫かな、とやや不安になった。
ただ、本編に入り具体的な伝え方の話になったらいつもの竹内さんでホッとした。
カギは「ストーリーテラー」。相手の立場に立って、相手が受け取れる、理解できるような説明をすることがポイントだ。
うまく伝えられる人ほど、ストーリー化が上手なのだという。
以前読んだNLP(神経言語プログラミング)の本に、「相手に伝わらないのは伝える側の責任」とあったが、それを思い出した。
自分の頭の中にある地図を誰かに伝えようとする時、何も工夫しなければ同じ地図を相手が頭に描くことは不可能に近いのだ。
たとえば、「昨日、海で犬と遊んだ」という話をする時に、あなたが遊んだのはチワワなのに、相手がブルドッグを思い描いていたら話がうまく通じないことになる。
自分の脳内の「絵」と、相手の「絵」を近づけることこそ、わかりやすさのコツであり、具体的で描きやすい言葉で説明することが大切なのです(P32)。
「マンガでわかる」とか「図解」といった本が人気なのも、頭の中で描きやすいからだそうだ。
「人前で話す時のカンニングペーパーを言葉ではなく、絵にしておく」は竹内さんおすすめの方法だが、素晴らしいと思う。
ど忘れしても、思い出しやすいのがポイント。文字の羅列だと、いざという時に必要な箇所がわからず、慌ててしまうが絵にしておけばパッと目に入りやすそうだ。
ただし、苦言がふたつ。
1.教養を語る本で「きめ細やか」という言葉は避けてほしかった…。今のところまだ「誤用」だと思うので*1。
2.構成者の嵯峨野功一さんは、わざわざ「構成」としてお名前が上がっていて、巻末に略歴も出ているのに、この本にどういう関わり方をしているのか書いてなかったのは残念。
6章で取り上げられている小学生向けの「プロフィールクイズ」を手がけている人だからかもしれないが、何となくもやもやが残ってしまった。
伝える手段としては、「書く」よりも「話す」寄りの内容。
書いてあることは他で読んだことも多いので、Amazonなどの評価はやや低め。
だが、これ1冊で幅広くいろんなことを網羅してあるので、手始めに読む本としてはいいと思う。私は自分がどの程度理解しているか、できているか確認しながら読めてよかったと感じた。
私のアクション:話す時に、自分が気持ちよいテンポよりも「間」を作るよう意識する
■レベル:守
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
※メモは近日中にUPします
*1:「きめが細かい」か「細やか」のどちらかを使うのが一般的だと思います