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自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

[読書日記]ただ、ありがとう ☆☆☆☆  

ただ、ありがとう 「すべての出会いに感謝します」

ただ、ありがとう 「すべての出会いに感謝します」

  • 作者:新井 貴浩
  • 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
  • 発売日: 2019/04/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
※ [Kindle版] はありません

新井さんは、私がよく行く「2ちゃんねる・野球関連」のところで大人気の選手だった*1
引退する時も本当に惜しまれていた。
――なぜなら、一生懸命であればあるほど、なぜか笑いを誘ってしまうタイプの人だから。
でも、それだけ愛される人柄だったとも言える。

この本にも、「なぜこの人がそんなに愛されるのか」がぎっしり詰まっていました。
※「新井さん」と呼ぶのは、親しみを込めた尊称なので、この記事でも「新井さん」と書きます。


◆本の目次◆
はじめに
第1章 引退
第2章 少年期
第3章 広島工業高校時代
第4章 駒澤大学時代
第5章 広島カープ時代(99年~07年)
第6章 FA宣言
第7章 阪神入団(08年~14年)
第8章 第7代目選手会長就任
第9章 阪神時代(14年まで)
第10章 自由契約から広島復帰
第11章 広島V3
第12章 野球の未来のために
おわりに
年度別成績・獲得タイトル・表彰

この本を読むに当たって、知りたかったのは
・40歳を過ぎ、引退直前までほぼベストパフォーマンスを維持できた理由
・FA宣言で広島から阪神に移籍した時、本当の理由は何だったのか
の2点。
答はちゃんと書いてありました。

「自分はヘタだから、人より練習しないと上には行けない」と思ってガムシャラにやった

新井さんは「プロ野球選手になりたい」という夢はあるものの、実力が抜きん出ていたわけではないという。広島カープへも、ドラフト6位で指名されたが、実はほぼ大学のコネ入団*2


「自分はヘタだ」という自覚を持ち、とにかく必死で練習したそうだ。もとからカープは練習が厳しいと評判のチーム。
その上、入団直後はコーチから正座させられたり、お客さんのいる外野で壁当て練習をさせられたり、今ならハラスメントと言われそうなこともあったという。
それでも、文句も言わず指示されたことを一生懸命やっていたそうだ。


阪神から広島に戻った時も、「若い選手に交じってやる」と決め、泥だらけになって練習した。
体が強かったから、とも言えるが(もちろんケガはいろいろありました)、自分に制限を設けず、やろうと決めたことは続ける意志の強さがあったから、あれだけの成績が残せたのだと思う。
現在も続けている護摩行も、精神面を鍛える大きな効果があったそうだ。


次のエピソードは、「新井さん」を作る重要なポイントだったと感じた。

春のキャンプ中には、水本勝己(現広島2軍監督)さんに「この1年間、これだけは絶対に続けるというものを決めろ。オレも付き合うから」と言われた。
(中略)
「1年間、ホームゲームの時は必ず練習前に特打します。付き合ってください」
以来、本拠地で試合がある日は他の選手よりも早く球場へ行き、左翼側にあった狭い練習スペースで…水本さんが投げるボールを必ず打った。雨が降っても、台風が直撃しても、移籍する2007年まで1日も休まなかった(P105-106)。

何事も続けることが大事だ。毎日の素振り、ランニング、何でもいい。継続すれば収穫や学びがあり、自信も生まれる。勉強や仕事にも通じることだと思う(P106)。

目の前のことに必死で食らいつく方が、道が拓けることもある

高校・大学時代にもキャプテンを務めたり、怒られ役になったり大変なことも多かったそうだ。
でも、それが今につながっていると書いてあった。

辛いこと、苦しいことに直面した時は先々のことを考えるのではなく、今できること、今やらなければいけないことに集中した(P70)。

10年後のゴールに向けて、1年後、3年後、5年後と計画を立てる人もいるが、それはその通りに行かなかった時にもろい面もある。

常に目の前のことに集中して、今の自分にできることに精一杯、誠意を持ってやることの方が時には道を拓くことがある。
(中略)
高校、大学で過ごした7年間。「プロ野球選手になりたい」という夢はあっても、「3年後は…」「4年後…」という計画は持っていなかった。毎日の苦しい練習に必死で向き合い、足元だけを見つめて歯を食いしばった。結果的にプロへの道は拓けた(P71)。

もちろん、先のことを考えて計画を立てた方がいい時もあると思うが、いい意味の“その日暮らし”でも、望むところにたどり着けた新井さんのような人もいるんだ、と思えば心強い。

いついかなる時も正直でいること

「嘘をつかない」はご両親の教えで、この本でも繰り返し出てくる言葉。

「じゃあ、あのFA宣言は何?本当のことを言っているとは思えなかったけど?」
と思いますよね*3
はい、正直に書いてあります。「たった一度ついた嘘」があの会見だったと。

広島を出る一番の理由は「金本さんと一緒にやりたい」だったが、それを口にすると金本さんに迷惑がかると思って伏せた、というのが真実*4
今は、本当のことを言ってもよかったのでは、と思っているそうだ。

人間、一度ウソをつくと、どんどん上塗りしていかないといけなくなる。ウソで塗り固めると、いつか整合性も取れなくなる。そうこうするうちに相手に疑念を抱かせ、信頼関係は崩壊してしまう。
大切なのは、過去にどう行動し、どんな道を歩み、どう発言してきたか(P29)。

この一度の嘘の経験は、のちにプロ野球選手会の選手会長としてさまざまな問題に向き合い、たくさんの人と話す時に活かされたそうだ。きっと、さらに「正直に伝える」ことの大切さを痛感するようになったのだろう。


新井さんの人柄は、選手会長を新井さんに譲った元ヤクルト・宮本慎也氏の言葉に集約されている。

「オマエは“私”に走らない。常にみんなのこと、全体のことを考えられる人間だから」(P139)


いつも一生懸命で、人のためになることを大事にする。嘘をつかず、飾らず自分の言葉で話す人。

読んでいて、まるで聖職者みたい、と感じた。器の大きい人なので、将来政治家を嘱望されたりしないだろうか、と勝手に少し心配してしまった。こんな素晴らしい人は、やっぱり野球に関わっていてほしいので。


カープファンはもちろん読むでしょうが、それ以外のプロ野球ファンに、できればプロ野球をのあまり見ない人にもぜひ読んでほしい本。
「何か続けてみよう」「新井さんはドラフト6位指名でも2000本安打したり、いろいろタイトルを取れたんだから、がんばろう」と前向きな気持ちになりますよ。
私のアクション:2020年に何かひとつ続けることを決め、それを継続する→「年間150冊読む&読書日記を書く」*5に決定!
■レベル:守 コアなファン以外でも読みやすいです


※この本のメモはありません

*1:私は「まとめ」を見ています

*2:それだけ「何かしてやりたい」「手を貸してやらなければ」と思わせる人柄だったんだと思います

*3:ニュースで会見を見ました。「つらいです」も涙も嘘だとは思いませんでしたが、なぜか「この人は本当のことを言ってない」と感じたことを覚えています

*4:当時広島は弱かったので、「優勝したい」もあったそうですが、それは新井さんの中では2番目

*5:book.yasuko659.com