- 作者:ほぼ日刊イトイ新聞
- 発売日: 2019/07/30
- メディア: 新書
岩田さん: 岩田聡はこんなことを話していた。 (ほぼ日ブックス)
- 作者:ほぼ日刊イトイ新聞
- 発売日: 2019/08/05
- メディア: Kindle版
この本を知ったきっかけは、ほぼ日の特集サイト。
第3章まで無料で公開されていた。
ものすごく面白かったので図書館で予約し、辛抱強く待ってやっと読めた本。
いい人は早く亡くなるのかな、とちょっと切なくなった。
- プログラムの経験が会社経営に生きている
- ボトルネックを見つけてから動く
- アイディアというのは、複数の問題を一気に解決するもの
◆目次◆
第一章 岩田さんが社長になるまで。
第二章 岩田さんのリーダーシップ。
第三章 岩田さんの個性。
第四章 岩田さんが信じる人。
第五章 岩田さんの目指すゲーム。
第六章 岩田さんを語る。
第七章 岩田さんという人。
プログラムの経験が会社経営に生きている
大学卒業後、学生時代から参加していたHAL研究所に就職。
その後、HAL研究所が経営危機に陥った時、社長に就任することになった岩田さん。
社長になってわかったのが次のことだったそうだ。
「判断とは、情報を集めて分析して優先度をつけること…そこで出た優先度に従ってものごとを決めて進めていけばいい(P26)」
さらに、プログラマとしての経験が会社経営に生かせることも発見。
問題を分析するというのは、物事を要素に分けて分解して、そのなかで「こうすればこれは説明がつくよね」という仮説を立てていくことです(P85)。
プログラマは経験してきたトライアンドエラーの回数がふつうの人に比べて多いという。
何か問題がある時、それに対して「いくつも仮説を立てては頭の中で比べる」ということを日常的に繰り返しているので、鍛えられているのだそう。
だから経営上でも、何か問題があると「要素を分解して仮説を立てて解決していく」というやり方で岩田さんは乗り越えてきたのだ。
ひとりで取り組むコンピュータの世界にも、誰かと一緒に仕事をする世界にも、じつは共通点がすごくいっぱいあって、その共通点を見つけることでわかることがたくさんあるんです。それがわたしの「判断すること」や、「困難な課題を分析して解決の糸口を見つけること」に、ものすごく役に立っている(P49)
ボトルネックを見つけてから動く
一番印象に残ったのが「実際に動く前に、まずボトルネックを見つける」ということば。
プログラムでも、ボトルネックはよく発生するそうだ。何度も同じところを通るため、処理スピードが落ちたり問題が起きたりする。
ボトルネックになっているところを直さない限りは、そうじゃないところをいくら直しても意味がない。
しかし、人は手を動かしていた方が安心するので、目の前のことに飛びついてしまいがちだと岩田さんは言う。
よく考えずにとりあえずできそうなことから手をつけてしまうのはよくある話だ。
でも、ボトルネックを見極めてから行動するべきだそうだ。
当然のことながら、全体を見てから動かないと、せっかく行動してもムダになってしまうことの方が多いからだ。
簡単なことについ手が伸びてしまうが、ガマンして最初にきちんと原因を解明し、全体を見て対策を立ててから動いた方が結果的に早い。
アイディアというのは、複数の問題を一気に解決するもの
宮本茂さんは、任天堂のゲームプロデューサーで、スーパーマリオブラザーズを始め、人気ゲームを次々に開発した人だ。
岩田さんも天才だと思うが、岩田さんにしたら宮本さんこそ天才だったそうで、自ら「宮本茂ウォッチャー」を名乗り、いつも観察して学んでいたという。
「アイディアというのは、複数の問題を一気に解決するものである」 (P104)
という言葉は宮本さんの発言として有名だそうだが、実は広めたのは岩田さん。
あちらを立てればこちらが立たない、いわゆるトレードオフの状態に陥りがち。
だが、問題となっている事象の根源をたどっていくと、いくつもの別の症状に見える問題が実は根っこでつながっているという。
そこを見つけて変えると、一見つながりが見えなかった別のところにも影響があり、いろんな問題が同時に解消したりする。
ディレクターと呼ばれる人の仕事は、それを見つけることだ、と岩田さんは言う。
宮本さんはどうやってそれを見つけるのか。カギは「視点を動かす」こと。
その方法が“日本一の宮本茂ウォッチャー”によって語られています。ここを読むだけでも、仕事のヒントがたくさんあるはず。
ゾクゾクします。
宮本さんと糸井さん
岩田さんは糸井重里さんとも親しかったそうで(出会いはあの有名なゲーム「MOTHER2」)、岩田さんの話には宮本さんと糸井さんがたくさん登場する。
第六章では、そのおふたりのインタビューも載っていて、アンサーソングのようでちょっとせつない。
おまけ
岩田さんの素晴らしさと魅力について、とてもわかりやすい追悼座談会があったので貼っておきます。
www.4gamer.net
ゲーム好きも、そうじゃない人も、ほぼ日ファン以外の方も、ぜひ読んでみてください。
私のアクション:まずボトルネックを見極めてから動く
■レベル:守 読みやすくて、受け取れるものがたくさんあります
次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
book.yasuko659.com