<この本を読むための用語集>
ホメオスタシスとは(871)
安定した状態を保つために、現状を維持しようとするのはある意味、理にかなっているのです。人間の体温が 36 ℃前後に保たれているのと同じです。 そうした機能を ホメオスタシス、生体を安定した恒常的状態に保とうとする「恒常性維持機能」 と呼びます。
問題なのは、これまでどおりの現状を維持するホメオスタシスの強い力が働いて、現状から抜け出そうとしても抜け出せないこと。
コンフォートゾーンとは(961)
私たちは自分では意識せずに、「自分がラクでいられる範囲」の中にとどまっています。「自分は昔から目立たない地味な人間だ」と思っている人は、知らず知らずに目立たないように行動し、目立ちそうになると冷や汗が出て思わずその場を立ち去るなど、強力なホメオスタシスが働きます。「目立たない」ということが、その人にとって「ラクでいられる範囲」だからです。
この「ラクでいられる範囲」のことを コンフォート・ゾーン と呼びます。
コンフォート・ゾーンは非常に強固で、ホメオスタシスは非常に強力です。あなたを「ラクでいられる」コンフォート・ゾーンの中にとどめて安定させるために、強力なホメオスタシスが働きます。
エフィカシーとは(1153)
自分の能力に対する自己評価のことを「エフィカシー」(efficacy)と言います。「自分には行動力と発想力がある!」という高いエフィカシーを持つのと、「自分には行動力も発想力もない」という低いエフィカシーを持つのとでは、実際には同じ能力でも、パフォーマンスに大きな差が出ます。 エフィカシーによってホメオスタシスの働き方が変わるからです。
セルフ・エスティームとは(1276)
ステップ 4 で説明した「エフィカシー」は自分の能力に対する評価でしたが、セルフ・エスティームとは直訳すると「自己尊重」 で、 自分の存在そのものに対する自己評価 といった意味です。
スコトーマとは(1166)
つまり、私たちには無意識のうちに盲点が生まれているのです。この盲点のことを「スコトーマ」 と呼びます。
エフィカシーによってスコトーマも変化します。
「オレには行動力も発想力もない」とエフィカシーが低い人は、上司から「すごい企画を上げてこい」と言われても、いい企画を考えつくためのフットワークもアイデアの糸口もスコトーマとなって隠れてしまい、いい企画を考えつくことはできません。一方、「オレには行動力も発想力もある!」という高いエフィカシーを持つ人は、「よさそうな企画なんてやり尽くされてる」とか「時間がない」「おいしい話などめったにない」といった「すごい企画を考えつけない理由」がスコトーマに隠れて見えなくなります。
抽象度を上げる
- イライラやモヤモヤから脱し、感情というゴミに埋もれないためには、抽象度を上げる、つまり視点を上げて自分を客観視し、視界を広げていくことが重要なのです。248
- 賢明な皆さんはすでにお分かりかもしれませんが、抽象度の低い人は、視点が低いのですから、例えば、今この瞬間の「会社でイライラさせられている自分」のことしか見えていません。視界が狭いのです。240
ゴールを持つ
- 常にゴールのために行動することです。262
- たとえ感情を乱される出来事があっても、プレゼンの本番ではパフォーマンスを落とすことはないはずです。 それが、ゴールを持っている人の強さです。268
- ゴールがないから、あなたの一瞬一瞬がゴールのためではないから、感情に振り回されてしまうのです。277
気分をゴールにしない293
- 「楽しい」「嬉しい」「幸せ」などの気分は、風向きが変われば瞬時に吹き飛んでしまうものなのです。吹き飛んでしまうものを目指しても、手に入れたと思ったら消えてなくなる。一生そのくり返しです。
目指すべきは、「嬉しい」「楽しい」「幸せ」という気分ではありません。
目指すべきはゴールです。
感情のゴミを捨てるコツは 「すべての感情を娯楽にすること」 「ゴールに無意味な感情は捨て、ゴールに意味のある感情だけを味わう」
- その感情に振り回されずに、「悲しさも人生の味わいのうち」と、娯楽として味わえばよいのです。娯楽として味わっておけば、振り回されることはありません。 感情を娯楽として味わうという時点で、すでに抽象度が上がっている からです。345
- 「ゴールに無意味な感情は自分に許可しない」というルールを自分に課す351
「なりたい自分の未来の姿」「心から望むゴール」と関係のない情報はすべてゴミ1233
- メディアなどから垂れ流される刷り込みの情報も、「なりたい自分」「やりたいこと」を基準に選別していくことになります。「こうありたい」という「未来の自分」のゴールに意味のある意見、情報、物は取り入れ、未来の自分にとって無意味な情報は放っておく。
他人の目から見た自分は虚像でしかない751
- 理解してほしいのは、「自分は他人の目にこんなふうに映っているんだろうなあ」というイメージは、あなた自身がつくりだしているということ。
他人の目に映っている自分というものは、自分がつくりだしている虚像です。「 他人の目から見た自分」そのままを、自分で見ることはできないのですから、当然、それは自分が勝手につくっている虚像なのです。
自分がつくりだした虚像なのですから、つくらなければ周囲の目は気にならなくなります。周囲の目を意識して萎縮したり、不安になったりすることはなくなります。751
恐怖に対処する方法
- 恐怖でクリアな頭を乱されている人は、「オレは何があってもビビらない」と自己イメージを高め、 「すべての感情を娯楽にする」 「ゴール達成に意味のある感情だけを自分に許可する」
というルールを自分に課してください。 1,944
- 現代の人々が頭を曇らせている恐怖の 99 パーセントが、「うまくいかなかったらどうしよう」「怒られたらどうしよう」というような、「感じても意味のない恐怖」です。
この種の恐怖を消す方法は単純です。
いたずらにおびえるのをやめて、恐怖の原因を消すために行動する。やるべきことをやった後は淡々と結果を待つ。それでも「怒られる」というような結果になれば、その場で適切に対処する。
つまり、恐怖の感情に振り回されるのではく、原因を消すために頭と体を使う。それが「感じても意味のない恐怖」を消す方法です。
自己イメージを高め、
「すべての感情を娯楽にする」 「ゴールに意味のある感情だけを自分に許可する」
という原則を自分に課し、それでも「感じても意味のない恐怖」を感じたら、恐怖の原因を消すために頭と体を使う。
それをくり返していけば、私が言った「現代に恐怖は必要ない」ということが分かります。それが分かったとき、あなたはどんな修羅場でも心が折れないタフな人間になっているはずです。1,963