家族が借りてきた本。
何の予備知識もなかったので
「アンラーン?何それ?」
と、この本を初めて見たほぼ全員と(おそらく)同じ反応になってしまいました。
著者のお一人が、これまで何冊も読んでいる為末大さんだったので、興味が湧いて読んでみました。
――確かに、これは今までにない「新しい視点」かも。
- ポイント1 無意識にやっているパターンは最適か、見直す
- ポイント2 「スキル」と「カルチャー対応スキル」を区別する
- ポイント3 ウインドサーフィンの典型的な「二大ヘタクソ」とは
◆本の目次◆
はじめに 大人にこそ不可欠な「新しい学び」――アンラーン第1章 学びの質を高める方法――「アンラーン」とは何か?
第2章 実践 アンラーンーー自分を「新しく学べる状態」に整える方法
第3章 アンラーンを阻む7つの壁と、乗り越え方
第4章「アンラーン」を人生とキャリアの武器にする方法あとがきにかえて 僕たちがアンラーンに「前のめり」な理由
こんな本です
オリンピック銅メダリストの為末さんと、東大経済学部教授・柳川範之さんの共著。
どんどん努力を積み重ねて行くだけでは、結果が出せなくなる時が来ます。
そこで、一度手放してリセットする。それがアンラーンなのだそうです。
学んだことを忘れること?学ばないこと?――いいえ、そうではありません。
アンラーンは学びの否定ではなく、これまでに学んだ知識や身につけた技術を振り返り、さらなる学びや成長につながる形に整理し直すプロセス(P4)。
アンラーンをわかりやすく言い換えるとすれば「これまでに身につけた思考のクセを取り除く」(P5)
これまでの成功体験や、経験の蓄積がある人ほど、新しいものを受け入れにくくなっています。
「今までこれで上手くいっていたから」と、変化を嫌う人にも効果があるのだとか。
ポイント1 無意識にやっているパターンは最適か、見直す
もともと、脳は省エネにできています。上手くいくパターンが見つかったら、考えなくてもそれができるように適応していく。
それが「ルーチン化」です。
――問題は、「それが本当に最適なのか?」ということ。
もちろん、その時は役に立っていたはずですが、
「今でも役に立っているのか」
の見極めが必要になります。
まずは、現状の把握から。
「固定化した思考」を見つけ、解きほぐす(P88)
1.無意識にやっていることを洗い出す
- 時間帯「朝起きて家を出るまで」「家を出て会社に到着するまで」「会社について、その日の最初の業務を開始するまで」などで分ける
- 業務の種類「会議の準備・運営の際にやること」「営業に行く際の準備」などで分ける
- 状況が変わった(転勤/昇進/結婚/引っ越しなど)
「最近、どうも上手くいかない」と感じたときにもルーチン行動の洗い出しのチャンス
2.「いつも」「これまでは」「通常は」の思考にとらわれていないかチェック
- 理由を聞かれた時、納得のいく説明はできますか?
- なぜそれでいいのか、言語化してみる
これまでに作り上げてきたものや、今、手にしているものの延長線上に、当たり前のように未来を設定しない……未来図を考える時に、「今までに積み上げたものの上に、さらに高く積んでいくことが正しい道だ」という発想から抜け出す必要があります。
(中略)
「せっかくここまできたんだから」という思いがあると、その先に思い浮かぶ完成形のイメージは、どうしても、今の延長線上でしかなくなってしまいます。つまり、その時点で良かれと思っていることが、気づかぬうちに未来を制限してしまっている(P47-48)
ただし、アンラーンして見直した結果、変わらずに今後も行動することもあってよい、とありました。
ちょっと安心。
アンラーンの目的は、行動を変えることそのものではなく、無意識にパターン化していることが「今」の状況の中で、「今」の自分にとってほんとうにベターなのかを再確認すること(P102)
ポイント2 「スキル」と「カルチャー対応スキル」を区別する
この本では、「スキル」と「カルチャー対応スキル」を分けて考えるようすすめています。
社会人としての基礎的な能力であるスキルとカルチャー対応スキルを分類すること。そして、カルチャー対応スキルに対しては「客観視」できる目を持つこと(P113)。
「スキル」は、今の組織を離れても使えるもの。
「カルチャー対応スキル」とは、その組織内でしか通用しないもの。
アンラーンの対象とすべき最大のものは、日常の判断や習慣に大きな影響を与えている、会社や組織におけるしきたりやルール(P81)
自分がスキルと思っていることが、社外でも通用するのか。客観的に見直しが必要です。
ポイント3 ウインドサーフィンの典型的な「二大ヘタクソ」とは
※ウインドサーフィンとは:
「風を使って水面を走るマリンスポーツ。サーフボードに似たボードにセイル(帆)のついて、セイルボードを用いる」(P132)
初心者にウインドサーフィンを教えているコーチによると、いつまでも上達しない「ヘタクソ」には2パターンあるそうです。
それが
- 「ウィンドサーフィンと似たようなスポーツの経験のある人」
- 「体力に自信のある人」
だとか。
サーフィン経験者は、過去に学んだ力の使い方や技術で何とかしようとするので、新しいやり方を受け付けることができず、結果的に上手くいかない。
また、ウインドサーフィンは、風や波に上手く乗ることが必須のスポーツ。
体力に自信のある人は、力づくでどうにかしようとするため、上手くいかない。
ものすごくわかりやすいですよね。
過去の経験や資質は価値のあるもの。
ただし、そこに重きを置いたままだと、シャッターが降りて新しいものを受け入れられなくなる、という好例です。
まとめ
- どこかのタイミングで、または定期的に思い切って「枠(パターン)をはずす」ことをやってみよう、というのがアンラーンの提案。
- イメージは「樹の剪定」
幹はそのままでよい。すべてを切らなくてもよい。
見通しが悪くなってきたなら、枝や葉を落とし、さらに成長できるようにする。
ものを断捨離するように、アンラーンとは過去の成功を断捨離、言わば脳の断捨離だと感じました。
余白を作り、柔軟性を残す。
いつまでも新鮮な気持ちで学び、成長を続けるために必要な考え方です。
常に頭の中を柔らかくて余白があって、方向転換可能な状態にしておくことが大切で、その状態をキープするためにはどうしても、アンラーンが必要(P220)
私のアクション:人の話は最後まで聞く*1
■レベル:破 読みやすいですが、新しい概念なので
これまでに作り上げてきたものや、今、手にしているものの延長線上に、当たり前のように未来を設定しない
— やすこ (@yasuko659) 2022年4月15日
——柳川範之/為末大『アンラーン 人生100年時代の新しい「学び」』
新しい時代に対応するために、思考のクセを手放し、ニュートラルな状態に戻す。それがアンラーン#読了 #本が好き #日経BP pic.twitter.com/ixrKkBDu3Z
次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモのスタンスはこちら
book.yasuko659.com
*1:自分の中の知識と照らし合わせて勝手に判断してしまう人(=アンラーンが必要な人)ほど、話を最後まで聞かないのだそうです。耳が痛い…