毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「手帳」についてじっくり考えてみる☆☆

■手帳術

「超」手帳法 (「超」整理手帳シリーズ)

「超」手帳法 (「超」整理手帳シリーズ)

ごぞんじ野口悠紀雄先生の「超」シリーズ。「超」整理手帳が発売されたのは94年だそうなので、この本はその頃書かれたものかと思っていたら去年出たものだった*1。発売後の改良なども載っているし「超」整理手帳に関する内容も比較的新しい。「超」整理手帳ってどんなものなの?という根本的なことを知りたい人は読むと役に立つと思う。サイズは違うが巻末に同じ紙・同じ様式のスケジュールシートがついていて体験することができる。

私もどういう発想でこの手帳ができたのかなど、根っこの部分が知りたかったので読んでみたのだが、野口先生が手帳に求めるものや手帳に対する考え方を知ることができて面白かった。基本的に野口先生がご自分のニーズに合わせて作ったものなので、万人がそのまま使えるものではないと思うし好き嫌いの分かれる手帳かもしれないが、時間管理とはどう考えればいいのか、そのために手帳はどんな形になると便利なのか、という発想の部分を知ることは時間術に興味のある人すべてに役に立つと思う。

野口先生が「世の中これだけ変化しているのに手帳が昔と比べてまったく進歩していないのは業界の怠慢だ」ということを書かれていたのは新鮮だった。特に、官公庁も企業もA4にサイズが統一されたのにそれに対応する手帳がないのがおかしい、というのは言われてみたら確かにそうだ。

そのまますべて使える内容ではないが、ヒントはたくさんもらえる本だと思う。来年の手帳をどうしようか考えている人は買う前にぜひ読んでみてください。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

誰でも「竜宮城」シンドローム*2に陥る危険がある。

会社勤めをしている場合には、とくにそうだ。毎日同じルートで出勤し、同じような仕事を繰返していると、「月日の経つのを忘れて」しまう。そして、「気がついたら定年」ということになりかねない。
「竜宮城シンドローム」に陥る基本的原因は、受動的な生き方をしていることだ。「上司に指示された仕事をこなす。会合や面談予定も、相手方の事情で決まっている」という生活だ。ここには「私は何を実現したいのか」という目的がない。
したがって、「竜宮城シンドローム」に陥らないためにもっとも重要なのは、自分自身の積極的な目標を持つことだ。組織に命じられて1日が終われば、ある意味での達成感はあるだろう。少なくとも、「仕事をした」という言い訳は、自分自身に対してできる。しかし、「本当に、自分のためになることをしたのか?」と自問することが必要だ。そして、時間の使い方を受動的なものでなく、主体的なものに転化してゆく必要がある。「積極的に生きる」とは、自分の目的のために時間を主体的・能動的に使うことである。

とにかくスタートする

仕事の全行程のなかで一番難しいのは、「始める」ことだ。出発のイナーシャ(慣性)は、たいへん大きい。つまり、「仕事に取りかかる」のは難しい。重要な仕事ほど、「構えて」しまって始めるのが難しい。
ところが、不思議なことに、続けることはさほど難しくない。だから、「準備がなくてもよいから、とにかくスタートすること」「不完全でもよいから、何か手がかりを作っておくこと」がきわめて重要なのである。
たとえば、書かなければならないが、なかなか書く気になれない手紙の場合、主要な部分だけを電車の中で、あるいは会議の間のすきま時間や会議中に、とりあえず書く。あとで、それを元にしてきちんとした手紙文にする。

変化があれば時間は充実する

不思議なことに、1ヵ月や1年の長さは一定ではない。新しいことがあると、長く感じる。これは、2004年にアメリカで生活したときに経験したことだ。(中略)思い出せば、小学生のときも同じだった。成長期であったため、1年の間にさまざまの変化が生じたからだろう。こうした期間は、振り返ってみて「時間を充実して使った」と感じる。
以上のことを「時間の区切り」との関連で考えてみれば、つぎのように言えるだろう。つまり、変化が多ければ時間の区切りが多くなり、その結果、一定の期間を長く感じるのだ。
この考えが正しいとすると、「変化こそ重要」ということになる。(中略)このような変化は、単なる外見上のものであり、それ自体に意味があるかどうかは分からない。しかし、生活を単調な繰返しから脱却させるには間違いなく効果がある。変化をきっかけとして時間の使い方を充実させることができれば、好循環が生じるだろう。

忙しいと時間の価値が高まる

忙しいと時間の価値が高まる理由は、時間が足りないときには時間が貴重になり、大事に使うためである。経済学の用語を使えば、忙しいと時間の「限界効用」が高まるのだ。それに対して、のんべんだらりと過ごしている場合には、時間の限界効用が低くなる。そして、時間を浪費する。

スケジューリングの最終目的は

「予定表を白くすること」だ。手帳に予定がびっしりつまっているのは、本当に重要な仕事をしていないことの証拠だ。他人に振り回される毎日だから、手帳がいっぱいになるのである。

「プラン」と「プログラム」を区別する

多くの人は、「計画」や「プラン」を、「これからやること」と言った程度の意味にとらえている。しかし、漠然とそう考えるのではなく、つぎのように考えてみよう。
それは、「計画」を「プラン」(戦略的目標)と「プログラム」(行動計画)に区別することだ。前者は目的・目標であり、後者は手段・行動である。
そして、プランを年(または数ヶ月)に、プログラムを週に、それぞれ対応させる。これに1日の行動計画(アクション)を加えた時間管理を、「プランニング・プログラミング・アクション・システム」(PPAS)と呼ぶことにしよう。

創造的な仕事の秘訣は

スケジュール表は真っ白に、メモノートは真っ黒に。

風呂の中のメモ用紙は紙片

昔からアイディアが浮かびやすい場所として、「三上」ということが言われた*3。これは、馬上(馬で移動しているとき)、枕上(寝ているとき)、厠上(トイレの中)だ。私の経験で言えば、これに、散歩中、風呂の中、寝るとき、起きたとき、会話の中を加えられる。
風呂の中で思いつくことは多い。しかし、メモノートを持ち込むと、蒸気で台無しになってしまう。そこで風呂の中は、紙片と鉛筆を使うのがよい。普通の厚手の紙でかなりうまく機能する。

*1:「超」整理手帳の元になったのは続「超」整理法・時間編―タイム・マネジメントの新技法 (中公新書)

*2:浦島太郎が竜宮城で「月日の経つのも夢のうち」という生活を送っていたが、気がつくと年寄りになっていた、という問題を著者が命名したもの

*3:北宋の詩人、欧陽修が言った言葉