毎日をちょっぴりていねいに暮らす43のヒント―少しだけペースをおとし、もっと生活を楽しむためのアイデア 金子 由紀子 すばる舎 2004-09 価格 ¥ 1,470 by G-Tools |
「持たない暮らし」の著者、金子由紀子さんの本。「持たない暮らし」よりも前に出ている。この本にも具体的にいろいろなヒントが紹介されているが、私にとっては精神的な部分に共感やさまざまな発見があった。「持たない暮らし」でなぜこんなところに『できるだけ自炊する』とか『毎日1回は空を見上げる』なんてことが出てくるの?と思ったが、これを読めばその理由がわかる。著者がどんな暮らしを理想としているのかも。
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たとえば、「これだけはゆずれない」ものには妥協しない、という話。食べるものすべてを安全で信頼できるものにするのはむずかしいが、これだけは、というものがあると食生活の安全基準を守れる。著者にとってそれは梅干しだそうだ。手間ひまかけている=安全という考え方は面白いと思った。確かに、世の中の添加物や化学的なものは、「効率化」「簡単にできる」「コストが抑えられる」などから使われ始めたはずなので、手間と時間がかかる昔ながらの作り方なら安全とおいしいが両方叶えられる。そういうものが一品でもあると、食卓も心も豊かになれる。
もうひとつ面白かったのは「写経」をする、という話。もちろん本当にお経を写すのではなく、寝る前にする日課をそう読んでいたのだそうだ。ひとつは「腹筋50回」、もうひとつは「洋書の小説を3分の1ページ訳す」こと。それを毎日続けることで日々の暮らしにメリハリがつき、とりあえず「写経」はやったから!という安心感、満足感を感じるようになった。そうすると内なる焦りや迷いは不思議に消えたのだそうだ。そして気持ちが落ち着いた結果、生活も自然に整ったという。とても深い話で、私は昨日書いた「長期目標設定用紙」の「毎日継続して繰り返しやる行動」に迷わずこの写経*1を入れた。これも、「小さな成功体験を積み上げる」のよい例だと思う。
金子さんの考え方に共通しているのは、「最低限これだけはやろう」と決めてそれはきちんとこなす。でも、それができていればとりあえずあとは気にしない、という潔さだと思う。その取捨選択、優先順位のつけ方が一番大切なところ、エッセンスなのではないかと感じた。
ぜひ「持たない暮らし」とあわせて読んでほしい本。ただのハウツーではない暮らし方ヒントが見つかります。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
体が止まっていると心も動き出さない
家にいて座っているだけでは思いつかないことを、散歩の途中で思いつくことは多い。歩くことが、止まった考えを転がし、動かし、新たなカタチを与えてくれるのだろうか。
だから、散歩には必ずメモをもちたい。そんな思いつきのひとつひとつを大切にし、実践していくことが、自分と暮らしをつくってくれるのだから。
おしゃれな人は服の扱いがていねい
会うたびに「おしゃれな人だなあ」と思う知人がいる。
ことさらに流行のもの、高価なものを着ているわけではなく、むしろ地味な装いなのだが、彼女の服には、いつもきちんとアイロンがかけられているのだ。そしてそれは、クリーニング店に任せたものではない。
きれいに折り目がついた服に、よく磨かれた靴。全身ブランドずくめの、「お金がかかっているなあ」という装いではないが、「手がかかっているなあ」という、常日ごろのお手入れのよさを伺わせる、清潔感とていねい感がある。
休みの日こそ早起き
「疲れているのに早起きなんて……」と敬遠するより、まず動いてみよう。
そもそも、疲れの原因は、“肉体疲労”よりはストレスである場合が多い。そんな疲れは、いくら惰眠を貪っても癒されない。むしろ早起きして、積極的に体を動かした方が、はるかに疲れがとれることが多い。
仕事の早起きと、楽しむための早起きはその質が違う。体が目覚めてくるにつれて、くつろいだ楽しい気分に脳が活性化し、体調もよくなっていく。