とても実践的な内容で楽しく読めた。
◆目次◆
序章 インバスケット思考とは
実践問題 みあの「はじめてのインバスケット」
終章 さらなる可能性を秘めたインバスケット
おわりに「インバスケット思考は永遠の財産である」
インバスケットとは
インバスケット・トレーニングをおこなうことで、その人が本来備えもった能力やスキルを引き出しているだけなのです。インバスケットはいわば、あなたの眠っている走力やスキルを発揮する道具(ツール)と言えるのです(P4)。
インバスケットは、架空の役職になりきり、制限時間以内に、未知の、未処理の案件を的確に処理するゲームです。
(中略)
(なお、インバスケットとは、管理者の机の上に置かれている、未処理の案件が入った“未処理箱”のことです)(P18)
インバスケットは…あなたに蓄積された知識やノウハウを使って、実際に起きるイベントや案件を処理し、活用できるようにする道具です。知識やノウハウは使ってはじめて、実力になるのです(P292)。
著者はインバスケットを「火事場の馬鹿力を発揮する方法」とたとえている。
火事場の馬鹿力は、火事の現場でしか出ない。火事場でどのくらいの力で出るかを見るには“火事場”を作るしかない。そして、その局面になると自分でも思いもよらないほどの力が出るのだ。
というわけで、この本ではインバスケットが実際に体験できるよう、「洋菓子店に勤める23歳女性が、大規模店の店長に抜擢された」という設定*1で、実際に60分で20案件を処理という課題に取くりめる。
23歳で店長に大抜擢、というのはあまりなさそうだが、20の案件は大きなものから小さなものまで、あるある、とうなづいてしまうような問題ばかり。
それもそのはず、この実践問題は、実際に研修などで使われる問題集とほぼ同じ内容なのだそうだ。
著者曰く、“この本を読んでやってみたから即インバスケットができるようになるわけではない”そうだが、どんなものかは体験できるし、インバスケットの考え方はつかめると思う。
そして、20の案件をこなすうちに、自分が苦手な部分、足りない点が見えてくるので、そこを伸ばすトレーニングをすることで成長できそうだ。
私が面白いと感じたのは「正解はない」と考える点。
私たちは受験や資格試験などに慣れているので、ついついすべてに正解があると思いがちだが、実際に仕事をする上で試験のような絶対的正解はほとんどない。
それを踏まえた上でどう判断するかを考える、というのはとても新鮮だった。そういう考え方が根底にあるだけで、日々の課題への取り組み方が変わると思う。
この本でも、それぞれの案件の後に売り場指導員のアドバイスがついているが、それも「気づきを得るためのもの」という位置づけだ。
ただし、実際には4択になっており、選択肢を読めばかなりの確率で“よりよい答”がわかってしまう*2。
選択肢を読む前に、自分なりの答を決めておくことをおすすめします。
昇進試験など仕事でインバスケットに取り組む必要のある方はもちろん、限られた時間で成果を出したい、重要なことに多く時間を使いたい、という方はぜひ読んでみてください。
ストーリーがそれなりにちゃんとしているので、飽きずに読めます。
私のアクション:すぐに決断するクセをつける
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読書日記:『たった5秒思考を変えるだけで、仕事の9割はうまくいく』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
多くの案件や業務を、短時間で精度高く処理するポイント(P20)
・優先順位をつける
・正しい判断方法や案件処理方法を身につける
・能力の発揮度を高める
情報には2種類ある(P120)
・定性情報
・定量情報
駅から自宅までどれくらい離れているかを聞かれて
「駅からすぐ近くです」が定性情報。
「駅から徒歩7分です」が定量情報。
定性情報だと人によって受け取り方が変わってしまう。
定性情報は人の感情に訴える場合にはよい情報。ただし、リーダーの判断に必要なのは定量情報。
問題発見から判断までのプロセス(P156)
問題発見
↓
問題分析
↓
情報収集
↓
対策立案
↓
関係者への報・連・相
↓
判断
意志決定には、問題発見力などの単独の能力ではなく、案件処理に必要な各能力が連動して発揮されることが重要。
あまり実力が発揮できないプロセスを強化するトレーニングを行い、安定した実力の発揮度を目指す。
人を評価する時によく起こる評定誤差(評価時、心理的に犯しやすい過ち)(P177)
・ハロー効果……ひとつ突出して優れているものがあると、すべてが優れていると錯覚すること
例:プレゼン資料を作らせると、彼は社内一だ。だから、彼は優秀だ
・寛大化傾向……自分の部下に対し、実際よりも甘く評価をつけること
例:うちの部下は、全員優秀だ
・期末考課……評価期間全体の評価ではなく、評価をつける直近の行為を評価すること
例:あいつは、先週大きな商談を成功させたから、評価を上げたい
・中心化傾向……部下を「可もなく不可もない」というように、評価尺度の中央で評価をつけること
例:今回は全員、5段階中「3」
・対比誤差……自分の行動や特性を比較し、反対の特性を持つ人間を過大、過小に評価すること
例:あいつは、俺にできないことができる
意志決定とは「YES」「NO」の判断だけではない(P195)
「保留する」や「延期する」、「誰かに任せる」などの判断も意志決定の一つ。リーダーに大切なのは、意志決定する行為を避けないこと。