毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

閉塞感を打ち破るのは「挑戦」☆☆☆

比較的新しい、茂木さんの本。集英社の読書情報誌『青春と読書』の連載を加筆修正してまとめたものだそうだ。
茂木さんは少しずつ、別の方向に向かわれているのかな、という印象を受けた。


◆目次◆
まえがき
1 暗闇の中を手探りで歩く
2 発見の文法
3 「挑戦」の普遍性
4 非典型的な脳
5 誰でも人とつながりたい
6 偶然を必然とする
7 盲目の天才ピアニスト
8 欠損は必ずしも欠損とならず
9 脳は転んでもただでは起きない
10 笑いが挑戦を支える
11 日本人の「挑戦する脳」
12 アンチからオルタナティヴへ
13 挑戦しない脳
14 死に臨む脳
15 臨死体験
16 自由と主体
17「自由」の空気を作る方法
18 地震の後で
19 できない
20リヴァイアサン
あとがき

学ぶだけではなく、挑戦しなければ脳は成長しない――。
長年、日本の“停滞”に言及していた茂木さんが、「挑戦」をキーワードにさまざまなことについて述べている。
連載なので、各回でそれぞれテーマは違うが、根底にあるのは「挑戦しなければ日本の未来はない」という確固たる信念だ。
特に、18以降は「東日本大震災後」に書かれたものであり、大きなパラダイムシフトが起きているのがわかる。

その内容は、脳について語っているものの、今までの著作と明らかにテーマが変わってきていると感じた。もともとこれを借りてきたのは家族だが、途中で読めなくなったと言っていた。単なる「脳の仕組みや働きの解明、脳をうまく使う方法」を超えているからだと思う。自由に何かを生み出せる世界を目指されているのだろうか。
特に17『「自由」の空気を作る方法』でそれを感じた。

あとがきにもそれは顕著に表れている。

…「自由」という空気を作り出す条件とは何か?「自由」の社会的果実を見れば、自ずから答はわかってくる。すなわち、「自由」とは、「発明」であり、「発見」であり、「イノベーション」である。もちろん、昼食に何を食べるか、というような「小さな自由」もあるし、大切である。しかし、よりマクロな意味で、社会の中での「自由」の空気を生み出すものは、今までにないものの「発明」であり、未だ解明されていない「発見」であり、社会のあり方を変える「イノベーション」なのである(P220)。
(中略)
「自由」の空気を作り続けることは、創造的に生きるための唯一の方法である。この本が、日本において、「自由」な空気を作るための、ささやかな一助になりますように(P221-222)。

「著者渾身の書」と見返しの紹介に書かれている意欲作だが、評価は分かれるかもしれない。
ただ、「挑戦」を恐れるあまり、日本が停滞しているのは事実だと感じるし、それを破るには1人ひとりが挑戦していくしかないという主張はきっと意味があるはず。
大きなことを変えるにはまず自分から。閉塞感を感じる人は読んでみてください。
私のアクション:少しずつ「小さな挑戦」をする

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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

挑戦することこそが、人間の存在理由(P38)

何よりも、「挑戦する」ということが…人間の脳において果たしている大切な役割を見極めることが必要である。…人間とは、挑戦し続ける存在である。挑戦することこそが、人間の存在理由。挑戦することをやめてしまったら、人間は人間以外の何ものかになってしまうことだろう。

人間の脳は、一生学習を続けている(P45)

その結果、次第により多くのことを学び、理解し、新しいものを創造したりできるようになる。学ぶことで、記憶の量や、結びつきの多様さ、操作の豊かさが次第に増大する。

「偶有性」こそが人間存在の本質(P65)

姿かたちがどんなに気にくわなくても、他の場所や時代に生まれた方がよかったと思ったとしても、実際に「今、ここ」でこのようなかたちで生まれてしまった以上、それを引き受けて生きていくしか仕方がない。私たちが、根底において偶有的な存在であるという点に、私たちの脳にとっての「挑戦」の実質がある。

人間の脳の感情のシステムは、「確実なこと」と「不確実なこと」のバランスを取る(P91)

自分の中に「確実なこと」が蓄積されるほど、「不確実なこと」を受け入れることができる。

「挑戦する脳」を支えるのは鍛え上げられた「プリンシプル」(P92)

大人になった時点で、自分なりの「プリンシプル」を確立できている人は幸いである。そのような人は、何があるか容易にはわからないこの世界の中で、必ずや「根拠のない自信」をもって、「挑戦」し続けることができるだろう。

「アンチ」から「オルタナティブ」へ。これからの時代に必要なのはこの精神(P125)

「アンチ」とは、つまりは、自分が気に入らないもの、ダメだと思うものに対して正面から向き合うということである。その欠陥、短所を言いつのるあまり、かえってとらわれてしまう。
(中略)
これに対して「オルタナティブ」は、不満のある現状から飛び出したある生き方を、具体的に示さなければならない。それは、ひとつの「創造」の行為である。
(中略)
…「オルタナティブ」を示すには、自ら身体を張らなければならない。他人任せでは、「オルタナティブ」になることはできない。自ら工夫して、失敗し、そして傷つかなければならないのだ。粘り強く試み続けなければならない。