毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

可士和さんがゲストの本質に迫る☆☆☆

今回は38人のゲストとの対談が掲載されているということで、ワクワクしながら読んだ。

 

◆目次◆
※登場される方のお名前/肩書きのみ
坂本龍一(音楽家)/大前研一(ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長)/小曽根真(ジャズピアニスト)/中村元(水族館プロデューサー)/竹田恒泰(作家・慶應義塾大学講師)/安藤優子(レポーター・キャスター)/松任谷由実(ミュージシャン)/竹中平蔵(経済学博士)/古川展生チェリスト)/竹中直人(俳優・映画監督・エッセイスト・ミュージシャン・絵本作家)/三木谷浩史楽天代表取締役会長兼社長)/早野龍五(東京大学大学院理学系研究科教授)/松田公太(参議院議員タリーズコーヒージャパン創業者)/亀田誠治(音楽プロデューサー・ベースプレイヤー)/谷川俊太郎(詩人)/池坊美佳華道家)/柿沢安耶(野菜スイーツパティシエ)/岩下志麻(女優)/林真理子(小説家)/松任谷正隆(音楽プロデューサー)/猪瀬直樹(作家・東京都知事)/秋元康(作詞家)/上村愛子フリースタイルスキーモーグル選手)/小山薫堂放送作家)/渋谷弘延(セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン専務理事・事務局長)/千宗屋(茶人)/杉山知之(デジタルハリウッド大学学長)/谷口久美(オペラ歌手)/隈研吾(建築家)/周防正行(映画監督)/松岡正剛(編集工学研究所所長)/松岡修造(プロテニスプレーヤー)/石倉洋子(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)/山口祐一郎(俳優)/太田光(タレント・漫才師)/三浦凉介(俳優)/有元葉子(料理研究家)/安藤忠雄(建築家)

さすがはいつも本質を追い求めている可士和さん、毎回ゲストの本質にぐいぐい迫っている。
それに、ゲストの今までや現在取り組んでいることについて、しっかり押さえていらっしゃるのも素晴らしい。毎回ある程度踏み込んだところから話が始まるから、深い話が聞けるのか、と感心した。

 

ただ、ちょっと残念だったのは、すべての人を載せるためか前作よりもひとり当たりのページ数が少ない気がしたこと。坂本龍一さんやユーミンなどはしっかり読み込める分量だったが、これは例外。対談部分はだいたいひとり4ページなので、ややもの足りない感じが残った。

 

今回個人的に一番面白かったのは松岡修造さん。この頃は、錦織圭選手の“師匠”として引っ張りだこだが、実は素晴らしいインタビュアーだと思う。

報道ステーションでさまざまなアスリートにインタビューしているが、どんな若い選手に対してもリスペクトの気持ちにあふれている人だ。その一方で元アスリートとして鋭い質問をして、通り一遍のインタビューとは違う、選手の深い本音を引き出している。

この対談でも可士和さんにいきなり質問していたりして、その片鱗がうかがえた。
さらに、深い本音を引き出すためにどんな風にしているのかも話していて、私にとってはとても楽しかった。たった4ページなのに錦織選手の話や「熱い人キャラ」に至るまでの裏話など、充実した内容だった。

 

もうひとり、有元葉子さんとの対談も面白かった。
少し前に読んだ『脳年齢25歳!? 佐藤可士和の頭が冴える食生活』で、可士和さんが料理を始めたきっかけが有元さんと会ったことだと書かれていたので、これだったのかと納得。
有元さんの仕事場で対談をされたようだが、インスパイアされた可士和さんは個人的に写真をかなり撮られたそうだ。

有元さんはとても合理的に考える理系タイプの人で*1、対談でも「料理上手な人は整理整頓も上手」とか、「道具はいいものを選んだ方がいい」「お皿は最低限必要なものを揃え、あとはそのつど買い足せばいい」など有元さんらしい言葉がたくさん聞けた。

 

人によって面白いと感じるところは違うと思うが、どの対談も可士和さんの「これはこういう意味ですね」のような、言い換えの部分があり、“本質をどう見極めるか”のヒントになる。
ひとつの対談が短い分、気楽に読めるので、図書館で見かけたらぜひ読んでみてください。
私のアクション:「欲張る」と「潔さ」の両方を持つ

 

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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

もがいたらいいですよ(ユーミン)(P60)

必ず待ってますよ、次のステージが。もがくってことは、シナプスが増えることなんです。

苦しくなくなったら次がない(ユーミン)(P61)

苦しくなくなった人は、そこで終息していくと思う。…使ってない部分が動き出すから、苦しいんですよ。

私たちの世代は、欲ばることと潔さというものを、両方持つことが大切なんじゃないか(池坊美佳)(P118)

全部あきらめたらやっぱりいい仕事もいい出会いもないし、でも全部は主役になれないし。その中で自分の何を生かしてあげるか。そのために何に対して潔くなるか。

あんまり外見の若さにとらわれすぎちゃうのもね(林真理子)(P136)

アンチエイジングって言葉は好きじゃないの、年をとるのは当たり前だから。とはいえ、全面降伏はやめて、見逃してもらう程度にには折り合いをつけたい。

成功の98%は運(秋元康)(P154)

でも、1%の才能と1%の努力がないと100%にはなれない。

茶の湯って、つまるところ自分と向き合うこと(千宗屋)(P178)

もてなしがどこに行き着くかというと、自分自身なんですね。それはエゴでもなく自己満足でもなく、やはり大切なのは自分自身が納得できるかどうかですから。他人はごまかせても、自分自身はだませません。

日本には元来「引き算の美学」がある(松岡正剛)(P208)

色目の重ねや、着物の半襟にしても、引いて引いて最後のひとつだけ残すことによって着物の緋色だとか藍染めだとかが畳の縁1本のところで立ち上がっていく。言語にしろ思想にしろ「日本的な方法論」は、つまるところ、そういう仕組みに行き着く気がします。

どうすれば整理できるのか、一番のポイントは(可士和さんへの質問)(P211)

一番大事なものがなんなのか、それをずーっとひたすら考えて、ぶれないようにする作業が肝になる。

現役時代はメンタルトレーニングで「俳優になれ」(松岡修造)(P212)

ミスしたショックが顔に出たとたんに筋肉に伝わって、しかも相手にも伝わって、次のポイントも確実に悪くなる。だから、ミスをしても自分が取ったような感覚でいて、コート内を王様のように行ったり来たりして歩くというのを何回もやりました。

引退して最初の2年間、オファーが来ればどんな番組でも出てみた(P213)

出ないとわからないと思って。結果的に自分の意図と違うかたちで放映されることもありましたが、その中で自分に必要なこと、向いてないことが明確になった。

「なぜだ?なぜだ?」という考え方からある時「どうやったら?」に変わった(P215)

WhyからHowになって、「どうやったらこのケガを乗り越えられるか」に変わったんです。それが、今の僕の根本的な考え方になっています。

「決める」というのは、「私はこうやりたい」とはっきり打ち出して人を巻き込み、うまく行かなかったら責任を取るということ(石倉洋子)(P218)

やりたくないと思うようなところが、実は面白い(可士和)(P244)

自分が面白いなと思うようなことって、逆にできあがっちゃっているから変えられないんですよ。今は…知らない仕事が来た方が面白い。

*1:料理研究家になる前は科学雑誌の記者をされていたそうです