毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

組織で失敗しない考え方☆☆☆

 

20代の頃この本があれば、と思った。

 

◆目次◆
はじめに
第1章 人と比べない
第2章 問題から目をそむけない
第3章 頭で考えない
第4章 時間に追われない
第5章 酒に飲まれない
第6章 失言しない
第7章 約束を破らない
第8章 恩を仇で返さない
第9章 嫌われることを恐れない
第10章 人を見た目で判断しない
第11章 上下関係を軽んじない

ベストセラーとなった前作『人に強くなる極意』の続編として書かれた本。
雑誌『BIG tomorrow』の連載をもとに加筆・再構成したものだそうだ。

 

著者の勧める「ズルさ」とは、ロシア語やチェコ語のヒートリー*1で、「賢い」「創意工夫に富んだ」という、前向きな意味だという。

 誤解しないでほしいが、私は読者に狡猾な利己主義者になることをすすめているのではない。会社、役所、学校、世間などでは、適宜「ズルさ」を発揮して、ストレスを極少にする。そして、自分が本当に大切にする家族、友だち、恋人とは、「ズルさ」や駆け引きを抜きにした、誠実な関係をもつ。複雑な世の中を生き抜いていくには、メリハリをつける必要があるということを伝えたいのだ(P6・まえがき)。

もし著者が企業にいたら、若い世代の人たちに職場の内外で伝えていたであろうことをまとめたという。だから「酒に飲まれない」のような、他ではあまり見かけない章があるのだろう。

「成功するための本」は世にあふれているが、「失敗しないための本」は、実は珍しいかもしれない。

 

さまざまなところで聖書の引用があり、ものの見方や考え方など、神学部出身の著者しか書けないような内容も斬新で面白い。

 

私が印象に残ったのは第6章と第10章。
第6章「失言しない」では、失言の原因は無知と偏見の2種類あり、失言しないために必要なのは教養(無知だけではなく、偏見でも)、というのが教養人たる著者ならではだと思う。

また、第10章「人を見た目で判断しない」は、元外務相でロシアと渡り合ってきた著者でなければ書けない凄みを感じた。
ニートラップやスパイの見抜き方など、そうそう書けるものではないだろう。
こういう「外交裏話」的なエピソードもたくさんあるので、そういうのが好きな人にも楽しめる本だと思う。

各章ごとに、読むべき本が2冊ずつ挙げられているのもうれしい*2

 

まえがきにあったように、若い世代を読者に想定していると思うが、他の年代の人でも、自分が思わぬ失敗をしていないか、振り返るのによさそう。
逆に言えば「いい上司論」でもある。部下を持つ人にとっても“使える本”かもしれない。

組織で働く人の「備え」になる本です。ピンと来た方はどうぞ。
私のアクション:人を判断するのに、じっくり時間をかける

 

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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

大切なのは「いかに負けるか」(P34)

自分を見失わないように、上手く負けることができるか。

「最悪のシナリオ」を書き出すのが危機管理(P46)

考えうる最悪の事態を想定し、それに対するイメージを膨らませて対応策を考える。危機管理の本質というのは、問題から目をそらさず、それを問題として認識することにある。

問題は3つのカテゴリーに分ける(P47)

1.解決可能か
2.解決不可能か
3.解決できなくても緩和することは可能か
それによって対処の仕方が決まってくる。

新しいものの中にこそムダが眠っている(P83)

ムダとは便利なものや新しいものの中にある。
(中略)
新しい技術やツールは、その後の環境の変化で不要になってしまうことも多い。
ある程度世間の評価が定まってから取り入れた方がよい。

時間の主人になるには?(P95)

そのためには休む。孤独な自分だけの時間を作る。そして自分の内面を見つめ、自分がやってきたことを振り返る。そうすれば、自分にとって何が大切か、自分は何に時間を使うべきかが自然と明らかになる。

教養が失言をなくしてくれる(P127)

教養とは「偏りのないこと」と「やわらかい思考」だと考える。

教養がある人かどうかを見抜くのはむずかしくない(P127)

偏見と差別意識が少ないことをポイントに判断すればまず間違いない。
学歴などはなくても、偏りのないフラットな目で世の中や人を見て、それらを受け入れる柔軟な精神の持ち主なら、教養人とみなしてよい。

*1:本にはスペルも載っていましたが、表記できないので省略

*2:全部確認したわけではありませんが、一部『ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)』のリストと重なっているようです