完璧主義(この本では「完全主義」)のマイナスについては今までいろんな本で読んできたが、この本はその中でもグッとフォーカスした、私にはタイムリーな本だった。
◆目次◆
はじめに
第1章 なぜ「がんばらない」のに成果が出せるのか――「知る・理解する」技術
第2章 完全主義を手ばなし「100%」を再設定する――「変わる」技術
第3章 「マイナス2割」で120%の成果を出す8割思考の仕事術――「実行する」技術
第4章 すべてを求めないからうまくいく がんばらないコミュニケーション――「人間関係」の技術
第5章 がんばらないをがんばる自分とのつきあい方――「継続する」技術
第6章 身近なところから始めるがんばらない日常生活――「すぐ始める」技術
おわりに
参考文献
完全主義タイプにも、「プラスの完全主義」と「マイナス完全主義」があり、すべてが悪いわけではないという。ただ、完全主義者の多くは行き過ぎた「マイナスの完全主義」になりやすく、うつや強迫性障害になりやすい傾向があるのだそうだ。
この本が勧めるのは、「マイナスの完全主義」をやめる方法。そのための考え方や、視点をいろいろと教えてくれる。
繰り返し書かれているのは、「80点、8割でOK」にすること。
印象的だったのはイチロー選手のインタビューでのことばだった。
「7割から8割の力でやることが、10割を引き出す可能性があるって考え方ですよね」
「でもコレ(10割)では長い期間やることはできない。改めて精神的に7割、8割でいることは、大事なことだなと感じました」(P26)
おそらく、イチロー選手はもともと完全主義の傾向があると思う。その彼がこんな発言をするということは、試行錯誤を経て「8割くらいが一番いい」という結論に達したのだろう。
以前読んだ本の複数にあった「先送りするクセは完全主義から来る」説はこの本にも出てくる。
なかなか片づけられない人にも、完全主義タイプがいるそうだ。「失敗できない」と思うからいつまでたっても始められないのだとか。
それを打破するには「やらないよりはマシ」と気楽に考えること。
片づけに限らず、「気楽に」がキーワードだ。完全を狙うと自らハードルを上げてしまう。結果を気にせずに気楽に始めてしまうのがカギかもしれない。
ここまで完全主義タイプの気持ちに寄り添って書けるなんてすごいな、と思いながら読んでいたら、実は著者自身が完全主義傾向の持ち主なのだそうだ*2。やはり、その人の経験から生まれる言葉は強く、説得力がある。
マイナスの完全主義に陥ると、どうしても長いスパンで何かをやるのがむずかしくなってしまう。
自分を責めるのではなく、20%はあえて残す意識で、「短距離型」から「長距離型」の人生にシフトしましょう。
ついつい完璧を目指してしまう方はぜひ読んでみてください。
私のアクション:片づけは「やらないよりはマシ」精神で
■レベル:守
次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
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