面白かったが、今どきこんな文字のビッチリ詰まった本見たことないわ、というくらいのボリューム。
そりゃあそうだ、この本には森岡さんの書きたいことが3種類も入れてある。
◆目次◆
プロローグ USJがTDLを超えた日
第1章 USJの成功の秘密はマーケティングにあり
第2章 日本のほとんどの企業はマーケティングができていない
第3章 マーケティングの本質とは何か?
第4章 「戦略」を学ぼう
第5章 マーケティング・フレームワークを学ぼう
第6章 マーケティングが日本を救う!
第7章 私はどうやってマーケターになったのか?
第8章 マーケターに向いている人、いない人
第9章 キャリアはどうやって作るのか?
エピローグ 未来のマーケターの皆さんへ
サブタイトル“成功を引き寄せるマーケティング入門”の通り、この本のメインの目的は「わかりやすいマーケティングの教科書」だ。
この本を書いたきっかけは、“大学進学を控えたお子さんにマーケティングのことを聞かれ、いい本を探そうと思ったらなかった”ことだという。
私はできるだけ多くの人に「マーケティングの考え方はマーケターだけのものではない。学ばないともったいないですよ」と伝えることにしています。マーケティングの基本の考え方である「マーケティング思考」は、すべての仕事の成功確率をグンと上げるからです(P4)。
この本を執筆した理由として
……マーケターでない人が読んでもわかる本を、ビジネスで成功したいすべての人に向けてわかりやすく書きます。
(中略)
この本の目的は、実戦経験者の視点で、次の2つのニーズにできるだけわかりやすく答えることです。(中略)・個人の会社もビジネスで成功するためのカギである「マーケティング思考」を伝えること。
・私が体得してきた「キャリア・アップの秘訣」を伝えること(P7)。
※書籍では、太字部分にさらに傍線が引いてあります
この本の特徴は、やはり「学者ではなく、マーケティングを実践してきた人が書いた教科書」ということ。
開示できる範囲で実際の事例がふんだんに取り上げられているのも、わかりやすさにつながっている。以前の所属先P&Gでのことも多い*1ので、「テーマパークの事例だと応用が利かない」と思っている人にも役に立つのではないだろうか。
マーケティングの勉強を大学や職場でしてきた人がどう感じるのかわからないが、個人的には今まで読んできた本の中で一番わかりやすかった。やはり「机上の空論」ではなく、実例がきちんとあることが大きい。
『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』では簡単に触れるだけだった「マーケティング・フレームワーク」に関しても第5章でしっかり学べる。
この本を読んで、個人で仕事をしていた当時いかに無茶苦茶なことをやってきたのかがよくわかった*2。
「戦況分析」の話が一番印象に残った。まずはじめに、市場構造を徹底的に分析するのだそうだ。森岡さんによれば、市場構造は自然の摂理と同じで、逆らうことで大切なリソース(資源)をムダ遣いすることになる。だから、戦争で戦略を考える時まずは地形や自然環境についてくわしく調べ、それを味方につける方法を選ぶのがセオリーだったとか。
こんな風に、私は仕事を再開するためにいろいろ参考になりそうだ、と思いながら読めたし、「マーケティング思考」は今どんな立場にいても、どんな生き方であっても知っていれば役に立つはず。
この本は上の引用にもあるように、「マーケティングの教科書」以外に、森岡さんのキャリア形成の歴史にもかなりページを割いている。これは、学生さんや若い読者のため。仕事のやり方に関しては、年齢に関係なく参考になるところが多かった。
また、「マーケティングの力をつければ、日本はまた勢いを取り戻すはずだ」という持論も熱く語られている。
どれも面白いのだが、3冊に分けてくれればもっと読みやすかった気がする。何しろ、すごいボリュームなので。
人によって必要な部分はかなり違うと思うので、興味のある方はぜひ手に取ってみてください。
私のアクション:パーソナルブランディングをもう一度考える
■レベル:守 わかりやすく書いてありますが、量が多く、字が詰まっているのでちょっとハードかも
次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
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※今回のメモは自分に必要な内容にかなり偏っています。ご了承ください。