以前、睡眠に関する著書は読んだことがあるが、この本のことは最近ネットで知った。興味が湧いて、図書館で借りて読んでみた。
今までに読んだ著者の本と同様、よそであまり見かけないような情報があり、新鮮だった。
◆目次◆
はじめに
1章 「脳のムダづかい」していませんか?
2章 脳のムダづかいをやめる習慣1「言葉」を変える
3章 脳のムダづかいをやめる習慣2「自律神経」を変える
4章 脳のムダづかいをやめる習慣3「注意」を変える
5章 脳の使い方を変えれば、相手も変わる
おわりに
著者によれば、
……脳の働きを高めて成果を上げるには、頑張れば頑張るほどいいのではなく、いかにムダなことにエネルギーを使わないようにするか、が重要だということがわかります。
(中略)
「頑張っているのに成果が出ない」原因は、自分の意志が弱いとか、意識が低いとか、そういうことではなく、脳の使い方に関する知識不足です(P18)。
正しい使い方をすれば、もっと成果が上がるという。そのためのコツを教えてくれるのがこの本だ。
ポイントは3つ。目次にもあるように、「言葉」「自律神経」「注意」を変えればいいのだそうだ。
意外な感じがするが、脳は「言葉」でコントロールできるのだという。
また、「自律神経」を季節や時間に合わせてしっかり切り替えることで、脳をうまく使うことができる。これに関しては、安保徹先生や小林弘幸先生の著書と基本的には同じだ。
「注意」というのは、必要なことだけに集中し、むだに「注意」を分散させないこと。私にとっては「注意」の話が一番面白かった。
以前読んだ著者の本*1にもあった、
「脳がやる気を出すのは『半分が新しいこと、半分が今までにやった経験のあること』という状態」
がさらに進化し、この本では「ハーフタスク」と呼ばれている。
常にハーフタスクの状態を意識してキープすることで、脳は新鮮な気持ちで取り組めるという。その結果、いいパフォーマンスが期待できるし成果も上がる。
全部新しいことだと気が進まなかったり、避けたくなったりする。また、すでに経験して慣れていることだと、新鮮さが薄れてやる気も起こりにくい。その間を取って「わかっているから取り組みやすいし、初めてのこともあるから新鮮で楽しい」にする、いいとこ取りの状態だ。
仕事でも、できるだけ「ハーフタスク」に近づけるのがポイントだそうだ。まったく同じことは経験がなくても、似たような作業を思い出す、慣れた作業と組み合わせるなど、意識して「ハーフタスク」に持って行くだけで、成果が上がるというからすごい。
注意を変えるとは、具体的には「ムダな情報をカットする」こと。
この本によれば、やはりマルチタスクは脳にとって負担になり、作業効率がかえって落ちるのだという。
また、だらだらとスマホを見たりネットサーフィンすることは、「野生の動物が近くにライオンがいることに気づいた状態とほぼ同じ」なのでやめられなくなってしまう*2、という話は耳が痛かった。
ただ、救いになるのが「言葉をコントロールすることで、脳もコントロールできる」こと。
テニスのサーブをラインギリギリに入れる練習をしている時。狙ったところからずれてしまったら、ふつうは狙ったところに入るよう、もくもくと練習するが、それよりもいい方法がある。それは、「右に20センチずれた」など、狙いがどの方向にどのくらいずれたかを口に出すのだ。それによって脳は修正機能が働く。発言した方が、速く上達するそうだ。
ネットサーフィンがやめられない人も、何かを検索する時に「○○について検索する」と言ってから始めれば、あっさりそれだけで終われるという。
年を取るとなぜか独り言が増え、これからやることや段取りをブツブツ言っていたりして子供の頃に「嫌だなぁ」と思っていたが、あれも効果があればこそ、だったのかもしれない。
今までに見聞きした内容でも、なぜそうなのかがわかるし、簡単で具体的な方法も教えてくれるので、とても親切な本。
がんばっているのに結果が出ない、と感じている人は、ぜひ読んでみてください。
私のアクション:オンとオフの切り替えをスムーズにするため、頭と身体を意識して交互に使う
■レベル:守
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