毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

【再読】「今日より明日、明日より明後日」の気持ち☆☆☆☆

 

【お断り】実は、この本を読んだのは2009年7月に続いて2回目でした。気づかず読書日記まで書いたので、比較の意味でUPしています。
今後も、「新たに読んだ本の読書日記を書く」というスタンスは変えません。今回は例外ですので、ご了承ください。

塩沼亮潤さんは、奈良・大峰山千日回峰行を成し遂げたお坊さん(称号は大阿闍梨、通常は「阿闍梨さん」と呼ばれる)だ。私が初めて阿闍梨さんのことを知ったのはEテレの「達人達」という対談番組。その時に、こんなすごい人もいるんだ、と感動した。
少し前に、ネットで『歩くだけで不調が消える 歩行禅のすすめ』という本が出ることを知った。すぐには読めないので他に何か著書があれば、と図書館で検索した中で、一番知りたい「千日回峰行」とその後の「四無行」のことが書かれているだろう、と借りたのがこの本。

心が洗われるような、いい本だった。

 

◆目次◆
プロローグ なぜ千日回峰行をはじめたのか
第1章 千日回峰行とはどういうものか
第2章 私を行に向かわせたもの
第3章 千日回峰行までの道のり
第4章 心を磨く千日回峰行
第5章 いつも次なる目標に向かって
第6章 流れの中でありのままに
エピローグ 人生生涯小僧のこころ

千日回峰行」とは、千日間山に登る「行」のこと。気候のいい時(5月3日〜9月22日)だけなので、満行するには9年かかるそうだ。行程は1日山頂まで往復48キロ、標高差は1355mというから、本当に「山登り」だ。
さらに、その後「四無行」という行もされている。これは断食、断水、不眠、不臥の4つを断つ、9日間の行。文字通り飲まず食わず、眠ることも横になることもしない、常識では生きていられないような過酷なもの。実際に命を落とす行者もいたそうだ。
大峰山の1300年の歴史でも満行したのは2人だけだという。

これだけの厳しい行をしたことで、どう変わったのかが一番知りたいことだった。

 

実際のエピソードを読むとやはり過酷。行の期間中はどんなことがあっても休めない。途中でやめる時は死ぬ時、と命を絶つための刀も懐に忍ばせているそうだ。
歯が痛くても歩き続けた話*1は壮絶だったし、台風の中登ったエピソードには息をのんだ。千日続ける、欠かさず続ける、というのはこういうことなのだ。

 行とは冒険でもなければ探検でもありません。大切なのは、いかに功徳をあげるかではなく、後悔を残さないように日々丁寧に根気よく、心を込めて神仏との絆をいかに深めていくか(P17)。

肉体的にも精神的にもギリギリの状態のところに自分自身を追いやって、その場所にしか咲いていない悟りの花みたいなものを見て帰ってくる(P38)


『歩行禅のすすめ』に関するネットの記事で印象に残った*2のは、「環境が整わない、たとえば雨が降ることで不満に思うのは我があるから」という言葉だった。不満に思っても自然は変えられない、とも。
ついつい周りのせいにしてしまうが、台風でも命をかけて山に登ってきた人の言葉はずっしりと重い。
不満に思うのではなく、それを受け止めてどう向き合うか。
阿闍梨さんは面白がっていたそうだ。笑って乗り越えたという。

毎日書かれていた「行日誌」も一部公開されているが、回を重ねるにつれてだんだんと研ぎ澄まされていくのがよくわかって興味深かった。「我」の部分が削ぎ落とされて、生かされている感謝があふれてくる。

 

一番印象に残ったのは、それだけの行を修めても、どうしても苦手な人が一人だけ残ってしまった、というエピソード。人間関係の悩みというのは、神仏に近い存在になっても、残るほど深いものなのだ。
阿闍梨さんは地元に戻ってご自分でお寺を開山され、その「最後の一人」を受け入れられたのは、4年後に再会された時だったという。
ご自分の気持ちが変わることで受け入れられたそうだ。

「毎日同じことをくり返す」のが行だとも書かれていた。現在も、お弟子さんと一緒に同じことをくり返す日々を続けられている。

 

記事のタイトルにしたのは、次の言葉から。

 私が「今日より明日、明日より明後日」という目標を立てたのは、お坊さんになった初日、昭和62年5月7日の朝一番のお勤めに出たときでした。それが千日行、あるいは四無行に生かされてきました。行を終えた今現在も、「今日より明日、明日より明後日」と、いつもいつも過去最高の自分になれるように神仏を手を合わせ、祈っています(P249)。

読んでいるだけで心洗われるので、手もとに置いて繰り返し読みたい、と思ったが、残念ながら電子書籍はなさそう*3
不平・不満をつい口にしてしまう人におすすめです。
私のアクション:嫌なことに遭遇した時、「不満」を持たずに受け入れる
■レベル:守 

※メモは省略します。

 

関連記事

※以前読んだ時の読書日記

book.yasuko659.com

 


*1:行の期間を終えて歯医者に診てもらったら、すでに歯の神経はなくなっていたとか…

*2:今探したらなかったのでうろ覚えで書いています

*3:紙の書籍はまだ新刊で買えるようです