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旅先の書店で見かけ、「あ、面白そう。佐々木典士さんの本なら読んでみたい」と思って図書館で予約した。かなり待ってやっと読めた念願の1冊。
出版するまでに何年もかかったそうで、収穫の多い力作だった。
◆目次◆
はじめに
1章 意志力は、生まれつき決まってる?
2章 習慣とは何か?
3章 習慣を身につけるための50のステップ
4章 ぼくたちは習慣で、できている。
おわりに
- 意志力は使って減るんじゃない。感情によって減る!
- マシュマロをガマンするコツは後天的に学べる
- 「努力」と「ガマン」を分ける。自分で選んだことならガマンじゃない
だが、お酒と甘いものををやめ、定期的に運動して体重を減らし、相変わらずのミニマリスト生活は維持されているというから、今では習慣化できる人になっているはず。
読者にとって一番役に立つのは「できなかった人がどうやってできるようになったか」を教えてくれる本、というのが私の自論なので、この本は学ぶところがたくさんある。
目次を見ていただければわかるが、具体的なノウハウは3章にまとめられている。なので「やり方をさっさと知りたい」という人は、3章から読むのが推奨されている。
でも、この本の面白さは実は1章だと思う。なぜなら、意志力に関する学説が紹介され、その上で佐々木さんの唱える説が展開するからだ。
意志力は使うことで減るというのが定説*2。でも、佐々木さんは考える。なぜラーメン、ポテチを食べた後にダメ押しのアイスまで食べてしまうのか?意志力は使っていないし、血糖値も回復しているはず*3。温存して回復したはずの意志力でなぜアイスだけは我慢できなかったのか?
佐々木さんは「意志力は使って減るんじゃなく、感情(自己肯定感の低下)によって減る」という仮説を提唱している。消耗するのは意志力ではなく感情なのだ!
それを裏付けるエビデンスは紹介されていないので、おそらく研究されていたとしてもまだ発表には至っていないのだろうが、この本を読む限り、ありなんじゃないかと思える。
特に、有名なマシュマロテストとの比較が面白い。
ja.wikipedia.org
マシュマロを食べずにガマンできる子はまるで生まれつきの性質のように思われがちだが、実は、ガマンするにはコツがあり、あとから学べるのだ。
たとえば、目の前のマシュマロはニセモノだと思う。マシュマロではなく、丸い雲だと思う。目をつぶって視界から消してしまう。
ガマンできた子はそうしていた。
つまり、これは認知の問題であり、認知は後天的に鍛えられるというのだ。
佐々木さんによれば、衝動的に悪い習慣に行ってしまうのも同じく認知の問題だという。つまり、マシュマロを遠ざけたのと同じ方法が使える。
いい習慣を身につける。悪い習慣をやめる。どちらもちょっとしたコツの積み重ねだ。そのコツがこの本で学べる。
人が一番消耗するのは、実は「やらされ感」がある時だそうだ。自分がやりたいんじゃないこと、仕方なくやっていること、自分ではコントロールできないと思っていることの後には、自己肯定感が下がり、意志力も下がる。その結果、いい習慣が継続できなくなったり、やめようと思っている習慣に手が伸びてしまう。
だから、「努力とガマンを分けて考えよう」と佐々木さんは書いている。自分で選んだことならガマンじゃなくなる。
前著『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』でも出てきた「自己肯定感」が、習慣を作るにもやはり鍵なのだ。
個人的には「記録」を取ることの重要性を再確認した。
佐々木さんは「ふっかつのじゅもん」を残しておこう、旅行などで日常のルーティンが崩れた時にどう戻すのかのヒントになる、と書いている。
さらに、うまく行っても上手く行かなくても記録しておくことは大切だという。
記憶は自分に都合のいいように書き換えられるし、「言い訳」だって自分を守るためにいくらでも繰り出せる。
だから、事実をねじ曲げて記憶してしまう前に記録しておくことは大切だし、言い訳さえも記録しておけばどんな風に自分が言い訳するのか*4がわかり、そこをブロックするヒントになる。
巻末には多数の参考文献が載っているが、中でも『天才たちの日課』からの引用が面白かった。天才とされている人たちは「何もしなくてもある分野で結果が出せ、成功できる」という意味ではない。
天才は生まれつき天才なのではなく、習慣化の天才なのだ。
つまり、習慣化を上手にできるようになれば、天才にはなれなくても、少しは近づけるかも、という前向きな気持ちになれる。
ふだんの生活の7割くらいは習慣でできているそうなので、そこをいい習慣にできるかどうかが人生を決めてしまう、とも言えます。
習慣を変えたいと思っているすべての人におすすめです。
私のアクション:1日の時間割を作り、試して記録を繰り返しながら自分のベストを見つける
■レベル:破
次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
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