毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「好き」の熱量が仕事を作る☆☆☆☆ 

「ない仕事」の作り方
みうら じゅん
文藝春秋
¥ 1,350

※文庫版あり→『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(¥ 713 )

※ [Kindle版] はこちら※文庫版

「ない仕事」の作り方 (文春文庫)
文藝春秋 (2018-10-06)
売り上げランキング: 11,472

私の大好きな「ゆるキャラ」の生みの親・みうらじゅんさん。
「ゆるキャラブーム」にとどまらず、みうらさんは次々とブームを仕掛けている人だ*1

一体どうやってブームを生み出しているのか、そのコツを全公開したのがこの本。
出た時から読みたかったのだが、当時は予約待ちの件数も多く、探書リストに入れたまま忘れていた…。

先日「探書リスト」を整理した時にまだ読んでいなかったことに気づき、図書館に予約。
今回は即借りられた。
でもこの本、実はとても汎用性の高い本なのです。


◆本の目次◆
まえがき すべては「マイブーム」から始まる
第1章 ゼロから始まる仕事~ゆるキャラ
第2章 「ない仕事」の仕事術
第3章 仕事を作るセンスの育み方
第4章 子供の趣味と大人の仕事~仏像
あとがき 本当の「ない仕事」~エロスクラップ

みうら式ネーミングの秘密

まず、「ない仕事」がどのように生まれ、仕事として成立し、世に広まっていったのかを「ゆるキャラ」ブームを例に解説してある。
本当に「ない」ところからスタートするのだ、ということがよくわかる。
当然のことながら、名前がない(当時は「マスコット」と呼ばれていたと思われます)。

全編を通して光るのが、みうらさんのネーミングセンス。
もちろん、この本にそのコツも書いてある。

A+B=ABではなく、A+B=Cになるようにするのです。そしてAかBのどちらかは、もう一方を打ち消すようなネガティブなものにします(P17)。

「ゆるい」と「キャラクター」は相反する。キャラクターはゆるくては困るからだ*2


そう思ってみれば、マイブームも相反することばの組み合わせだ。

…そもそもブームは多数の人が同じことに夢中になる現象ですので、「アワーブーム」が正解です。「マイ(一人の)」「ブーム」は本来「ない」言葉なのです。
(中略)
私(みうら自身)の流行を、世の中に広めていく。本来、これが「マイブーム」の本当の意味だったのです(P4-5)。

一人電通

ないものを流行らせていく、仕掛けるのが仕事なので、向こうからオファーが来るはずがない。
そこで、こちらから企画を持ち込むのが第一歩。それがみうらさんが称する「一人電通」だ。

「マイブーム」を広げるために行っている戦略を、私は「一人電通」と呼んでいます。電通とは日本を代表する広告代理店ですが、そこで行われていることを、全部一人でやってしまおうという意味です。
(中略)
ネタを考えるのも自分。ネーミングするのも自分。デザインや魅せ方を考えるのも自分。雑誌やテレビやイベントなどで、それを発表するのも自分。さらに、そのために編集者やイベンターを「接待」し、なるべくネタがよく見えるように、多くの人の目に触れるようにしていくのも自分。
クリエイティブだけでなく、戦略も営業もすべて一人で行うわけです(P5-6)。

接待も、担当者を飲ませていい気分になったところでプレゼンする。
そうやって発表する場を獲得したり、持っている連載ページを大きくしたり、カラーにしたりと少しずつ拡大していくのだそうだ。華やかな仕事のように見えて、地道な作業。

仕事は一人を喜ばせるためにやる

面白いな、と思ったのは、編集担当者と仲よくする、という話。一緒に仕事をするのだから、楽しく仕事をするためにも距離を縮めたい。
さらに、自分の何かを面白がって仕事をくれた編集者なのだから、その人を喜ばせる仕事をしよう、と考えるのだそうだ。
みうらさんは「喜ばせたい読者の最高峰は母親」*3なので、母親と編集者が想定読者だという。

知らない大多数の人に向けて仕事をするのは、無理です。顔が見えない人に向けては何も発信できないし、発信してみたところで、きっと伝えたいことがぼやけてしまいます(P79)。

最初に単発の仕事を頼んでくれた編集者がいたとします。当然、自分の何かを面白がってくれたから依頼が来るわけです。だとしたら、自分のやりたいことはとりあえずさておき、その編集者が喜ぶような仕事をしなければなりません。
仕事は読者や大衆のためにやると思う人もいるかもしれませんが、前述したとおりそれでは逆に、仕事の本質がぼやけます。考えるのは母親と、目の前の編集者だけでいいのです(P85-86)。


この本を読んで感じたのは、つくづくみうらさんは「プロデューサー」なのだ、ということだ。
しかも、自分が長年好きだったものや、本当に気に入っているものを広めることにしか興味がない。すべては小学生の時から始まっているとも言える。
そのあたりが、「これ、流行りそうだからやりますか」という一般的なプロデュースとは熱量が違い、伝わってくるのだろう。
「好きだからこそできること」の最高の例がボブ・ディランのエピソード。これはぜひ実際に読んでみてください。鳥肌が立ちます。


「自分がいいと思うものを広める」というのは、プレゼンや営業はもちろん、すべての仕事に通じるはず。
そういう意味で、この本から学べることは多いと思います。
個人的には自分の「好き」にこんなにまっすぐになってもいいんだ、というところに背中を押してもらえました。
実は地道な作業が多く、「好きだから楽しい」だけではなさそうですが。
「好き」を「仕事」にするには、こんな形もあるよ、というヒントがたくさん受け取れる本。
ピンと来た方はぜひ読んでみてください。
私のアクション:高校時代の親友に向けてブログの記事を書く
■レベル:破 

次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

*1:たとえば「仏像ブーム」さらに「阿修羅ブーム」もありましたね

*2:実際に、取材を申し込んだ時に「うちのはゆるくありません!」と怒る自治体担当者もいたとか

*3:ここでは紹介できませんでしたが、昔、みうらさんが隠していたある出来事を、お母様が「こんなことするのは、あんたしかいいひん」と見抜いたエピソードは衝撃的でした