「自分で自分の面倒を見られる」ことこそ最高の幸せ
- ポイント1 ラク家事の第一歩はものを減らすこと
- ポイント2 その欲望、本当に自分のものですか?
- ポイント3 自分で自分の面倒をみる
◆目次◆
はじめに 家事なんてなくなればいい?
1 私が手にしたラク家事生活
2 あなたの家事がラクにならない本当の理由
3 家事こそは最大の投資である理由
4 老後と家事の深い関係
5 老後を救う「ラク家事」
6 モノの整理が天王山
7 実録・人はどこまでモノを減らせるか
8 実録・人はどこまでものを減らせるか
9 死ぬまで家事
おわりに 総理、家事してますか? (ラク家事えみ子、政治経済を語る)
読んだきっかけ
家族が図書館で借りてきた本。
ぜひ読んでほしい、と強く勧められたので手に取りました。
ブクログなどの評価がものすごく高かったのも興味が湧いた理由。
5段階評価で4.2以上なんて、なかなか見かけませんから。
こんな本です
50歳の時に大手新聞社を辞めたのをきっかけに、ものにあふれた生活から、超シンプルライフにシフトした稲垣さん。
でもこれ、実はものすごく幸せな生活だったよ、という気づきを、回顧あり自慢ありで読ませてくれる1冊。
cakes(2022年8月31日サービス終了)連載に大幅に加筆修正し再構成したものだそうです。
面白いのでつるっと読めますが、めちゃくちゃ深いです。
その暮らしぶりは…やっぱり驚愕の一言ではありますが。
ポイント1 ラク家事の第一歩はものを減らすこと
現在、稲垣さんはわずか1日40分で家事が終わるのだそう。
- 洗濯 前日つけ置きしたものを手洗い 10分
- 掃除 ホウキで床を掃くor雑巾で床を拭く 10分
- 昼食/夕食の準備 各10分 合計40分
この40分は、ただの40分じゃない。全てをやりきった40分、「自分の人生これで十分」と心から確認できる40分なのだ。
だって、日々きちんと片づいた部屋で、清潔で着心地の良いお気に入りの服を着て、美味しく健康的なものを食べることができたなら、他に何がいるというのだろう?(P20)
一人暮らし、銭湯利用、カフェでお仕事をしているそうなので家で作るのは2食、などの理由はあっても、たったのこれだけで終わり?それで、きれいで満足した生活が送れるの??
と思いますが、ほんとうです。
その最大の理由は「ものが少ない」こと。
服も化粧品も台所用品も、何もかも使い切れないほど持っていた会社員時代から、辞めて小さな住まいに移る時に9割の持ち物を手放したそう。
すると、生活はびっくりするくらいシンプルになり、家事もラクラク、楽しくできてしまうというから驚きです。
ポイント2 その欲望、本当に自分のものですか?
時々見かける、「そもそも私たちが求めている生活は、本当に自分が望んでいるのか」問題。
この本でも取り上げられています。そもそも、そこが間違っていたら「心から満足する幸せな暮らし」にはたどり着けませんからね。
「便利ですよ」
「これがあれば人生上手くいきますよ」
という宣伝に踊らされているだけなのでは?と稲垣さんは書いています。
これを読んで思わず笑ってしまったんですが、
世間で言われる「理想とする生活」はひとりではできない
ものだそうです。
侍女やメイドのいるお姫様じゃないと無理。
――「ひとりでメイドとお姫様2役をするのか?」
確かに、毎日手の込んだ美味しいものを食べ、美容にも手を抜かず磨き上げ、美しく整えられた部屋でくつろぎ、毎日パリッとした違うファッションに身を包んで出かける……誰がその世話をしてくれるのか、と言いたくもなります。
本当にそれを望んでいるなら、工夫する価値もあるかもしれませんが。
何となく思っているだけで、みんながしているからそうしたいと思い、SNSやらメディアがしかける“洗脳”の結果だとしたら、ものすごくもったいないですよね。
稲垣さんの会社員時代の体験によると、こういう欲望はどんどん拡大して収拾がつかなくなるのだそうです。その結果、ものが溢れて把握できなくなる、という悪循環に。
つまりは私が整理しなきゃならなかったのは、モノより何よりまずは自分の肥大化した欲望だったんである(P32)
稲垣さんのおすすめは、どんな暮らしをしたいのか「ゴールイメージを決める」ことだそう。
あのこんまりさんの本にも、実は書いてあります。
そのイメージをどれだけクリアに持てるかどうかが、成功を左右するのだそうです。
稲垣さんがゴールイメージにしたのは、韓国時代劇の失脚した王妃の暮らし*1と江戸時代の長屋だったとか。
まず、自分が本当に「幸せを感じられる暮らし」を考えてみるところから始めるとよさそう。
ポイント3 自分で自分の面倒をみる
私がいいなあ、と思ったのはこの一節でした。
かくして一日の終わり、我が極小の台所を蛇口もガス台も流しも壁も全てキュキュッとふきんで拭き、最後にそのふきんをじゃぶじゃぶ手で洗ってベランダにバシッと干すことが最大の楽しみという人生が始まった……その日の決着をちゃんとつけて終えるとはなんと気分の晴れやかなことだろう(P28)
今日の汚れは今日のうちに全部始末をつけて、明日から新しい日が始まるというリセット感がたまらない。何もやり残してないまっさら感が、気持ちまでまっさらにしてくれる(P35)
こんな生活、したいですよね。
それには、やはりまず「ものと自分の欲を手放す」ことから。
本当に必要なものだけに囲まれる生活は、こんなに満ち足りているのか、とうらやましくなります。
――さらに、このラク家事にはもうひとつ、いいことが。
「ずっと自分のことを自分でするからボケにくい」のだそうですよ。
認知症の始まりは、「新しいことができなくなる」「今までできていたことができなくなる」ことが多い。
複雑であればあるほど、そのリスクが強まります。
実際、晩年に家事ができなくなったお母様を看取った稲垣さんの言葉は重みがあります。
今でも充分シンプルな「ラク家事」ですが、年を取ってきたら、それに合わせて更に簡素化すればいい。
自分の状況に合わせて応用が効くのもうれしいポイントです。
まとめ
お金も、特別な能力もいらない。ほんのちょっとした決意さえあれば、ただそれだけで十分な幸せを私は私の力でちゃんと手に入れることができる。その事実そのものが、とてつもなく大きな安心と幸福だった。私は無力なんかじゃなかった。私は自分の力で自分の幸せを作り出すことができたのである(P259)。
このことばがすべてだと思います。
もちろん、家族がいたり、いろいろな理由でできない方もいらっしゃるでしょうが、自分でできる範囲で暮らしをシンプルにしたら、きっと今までにない幸せを感じられそうな気がします。
感想
この結論って、実は勝間和代さんが繰り返し書いている
「家事は自分でできた方がいい」
「家事ができれば、たくさん稼げる人よりも実は幸福度が高い」(記憶で書いているので表現は違うかも)
というのと同じなんですよね。
到達点は同じなのに、通るルートがこんなに違うのか、というのも衝撃でした。
勝間さんは文明の利器はどんどん使え、という人なので、とても「電気代月200円」の暮らしは実現しません。
お好きな方を選べばいいのではないでしょうか。
我が家はハイブリッド型を目指すことになりそうです。
私のアクション:ゴールイメージを「修道院の暮らし」にして、ものを減らす
■レベル:離 ここまでやれる人はそういないと思います…
多くの人が断捨離に失敗するのは、なんだかんだ言って「服を捨てたくない」気持ちを捨てられないのである
— やすこ (@yasuko659) August 24, 2023
——
稲垣えみ子『家事か地獄か』
やむを得ずもちもの9割捨てたら頭も心も人生も片付いていたという。
コツは捨てざるを得ない状況にすること? pic.twitter.com/6RbbHINeZL
次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモのスタンスはこちら
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この本か確証はないんですが、あとがきに「きれいに片づいた家に住み、栄養バランスの取れた食事をとり、自分の好きなことをする時間があれば、人は幸せに生きていける」みたいな話が載っていました。目指すところはたぶんほぼ同じ
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*1:ご存知の方はわかりやすいですよね。飾りも化粧けもなく、白い木綿のチョゴリを着て、質素な家に住む元王妃