今回の旅行の主な目的のひとつが「美術館に行くこと」。私は印象派、特にモネが好きで、それでジヴェルニー*1に行けるツアーを探したくらいなので、もちろん絵も見たい。
もともとツアーに含まれていたのはオルセーとルーブル。ルーブルは5年前に行ったが、オルセーは初めてなので期待していた。
が、残念ながらオルセーは改装中。タイミング悪く印象派の絵が多くある3階を閉鎖中だったので、私が見られたのはモネ1枚、マネ1枚のみ。まあ、ミレーとコローが見られたからいいか*2。
一番よかったのは建物、という笑えないオルセー訪問になってしまった。
他に自力で行ったのがオランジュリーとマルモッタン。この4館すべてに共通していたのが、手荷物検査だ。何と、空港と同じようなX線検査の機械があり、荷物を通さなければならない。空港ほど厳密ではなく、添乗員さん曰く「係員によってチェックの程度は違う」らしい。
それから、たまたまリュックをしょっていた家族は係員に何度も前にかけるよう注意されていた。フランスでは絵はほとんどカバーを掛けずにむき出しなので、うっかりこすったりしないようにだろう。
逆に、日本ではうるさく言われる傘*3はノーチェック。国によって考え方が違うのだろうか。
あまり規模の大きくないマルモッタンではクロークがあって半ば強制的に荷物を預けさせられた。これも絵を守るためなのだろう。
オルセーでの落胆をなぐさめてくれたのがオランジュリーだった。ルノワール、ピカソ、ローランサン、モジリアーニなどの有名どころがずらり。もちろん、モネの大作「睡蓮」も。いやあ、行けてよかった。
その後、強行スケジュールでマルモッタン美術館へ。
行って初めて知ったが、現地の表記はちょっと違う。
Musee Marmottan Monet、つまり「マルモッタン・モネ美術館」*4なのだ。それもそのはず、モネの次男(長男は先に死去)が遺言でモネの絵を多数寄付したのがこの美術館だからだ。「印象派」の名前の由来になった「印象・日の出」をはじめ、たくさんの作品を見ることができる。面白いところでは、モネのパレットも展示されていた。絵の具を混ぜずに描く手法のため、パレットも絵と同じような色合いになっていて興味深かった。
ガイドさんが、「モネの絵は離れて見た時にわかるように描いてあるんです」と言われていたので、晩年のよくわからない絵を試しに下がりながら見たところ、“塗り重ねた絵の具”にしか見えなかったものが、ある瞬間から突然鮮明に見えて驚いた。これも、たぶん日本ではできないことだろう。
全体にフランスの美術館では、日本のような順路はないしいろいろうるさくないので、自由に行き来して見ることができる。それほど混んでいなければ好きな絵の前にしばらくたたずんでいられて幸せだった。
オルセーは残念だったが、
「いいもんね、前にオルセー美術館展(神戸)で見たから」
と強がっていた。見方を変えれば、そんな貴重な絵を大量に貸し出してくれた気前のよさに驚く。
他の美術館の絵も、実は日本で見たことがあるものが多く、「これ○○で見たよね」ばかり言っていて笑ってしまった。
とは言っても、上に書いたように日本よりずいぶんゆったりと見やすいので、もしまたパリに来る機会があれば、オルセーは再挑戦したい。
最後にひとつ豆知識を。ガイドさんが言われていたが、パリではストライキが多く、超有名な美術館も例外ではない。現に私たちがルーブルに行った日、ルーブルは開いていたがオルセーはストで休みになっていた。ルーブルも9月には1日急な休みがあったという。
せっかくはるばる日本から来たのに!となってしまうこともあり得る。ご自分で予定を立てる時は、ある程度入れ替え可能な日程にした方が安全かも。