順番としては、この本の方が先に出版されている。
どちらも同じようにヨガ*1や気功についてやさしい言葉で説明してくれている本だが、私にはこちらの方が響く気がした。付せんだらけにしてしまった。
◆目次◆
第1章 いのちの旅
第2章 いのちと癒し
第3章 いのちと想念
第4章 いのちと願望
第5章 いのちと言葉
第6章 いのちと自分
第7章 いのちと人生
第8章 いのちとヨーガ
第9章 いのちと瞑想
第10章 「いのちの力」実践篇
あとがきにかえて
著者はロンドンでヨーガ気功教室を主宰、気功による治療も行っている。その経験から、病気をはじめ、心の持ち方や人生に対する心がまえについて、いろいろなことが書かれている。
ヨガと気功の両方を深く究めた人はめったにいないと思うので、とても貴重だ。
ヨガに関する記述はあまり宗教色もなくシンプルな印象だが、ひとつだけはっきり書いてあるのは「運動ではない」こと。
ヨーガの本当のねらいは、この心地よく、深くリラックスすることにあります。ですから、いくら美しいポーズを作ったとしても、リラックスできなければ、ヨーガをやった意味がありません。また、ストレッチングふうにやったり、体操ふうにやっても、美容効果はあるかもしれませんが、ヨーガの本来のねらいから外れてしまいます(P195)。
著者ご自身は世界を放浪したり、インドで修業をしたりと究極まで行った人なので*2、「突き抜けて普通になった」ということなのかもしれない。非凡を突き詰めて平凡に至る、のような感じ。
今までヨガを勧められても、あまりピンと来なかったのだが、これならやってみたいな、と思った。でも、残念ながら日本には数えるくらいしか帰ってこられないようだし、お弟子さんが広く普及させる、という形も取られていないようだ。
ヨガと直接関係のない、人生訓のような話もとても興味深い。
成功哲学や脳科学の本でよく読むような話も、著者が書くとごく普通のことのように受け止められる。
たとえば、失敗したら反省するのではなく、うまく行くイメージをするとか、悪い出来事と思われることに遭遇しても、いいことのように受け取るなど。
また、体と病気に関することも納得できることが多かった。「言葉と行動が違っているとからだが歪む」という怖い話も。やはり、心と体は直結しているのだ。
五木さんとの対談『気の発見』のあと読者からたくさん手紙が届いたそうで、それに対する回答が巻末に載っている。
ここでもやはり体操・ストレッチにならないように、という戒めの言葉が。
私のアドバイスは、ヨーガを体操風、ストレッチング風にやらないことです。ポーズのあとに、必ずリラックス(しかばねのポーズ)することです。極端な云い方をすれば、ヨーガは、ポーズのあとに心地よくリラックスできれば、それで成功です
(中略)
あなたの深いリラックスが、あなたを癒し、あなたに宇宙のエネルギーを充電してくれます。そうすると、あなたの前に、新しい世界が開けてきます(P222)。
『内臓のはたらきと子どものこころ』*3の著者・三木成夫氏の理論から、ヨガの真髄について気づきを得た、という洞察が面白かった。
ヨガは、目に見えない本当の力の源を鍛えるという。だから、病気が治り、細くても元気で健康な体になる。
スポーツは肉体の筋力は鍛えるが、内側はあまり鍛えられないのではないか。だから、大事な試合の前に風邪を引いたり、記録を目指すことで無理をして、かえって健康を害している人が意外に多い。
ヨガが単に体を鍛えるものではなく、心や魂といったところまで鍛えるものなのだ、という説はとても新鮮だった。
著者の文章は話を聞いているようでとても読みやすく、まるで水を飲んでいるようにするすると入ってくる。
論理的な書き方ではない分、とりとめのない印象もちょっとあり、あとでどこに何が書いてあったか探すのに少し苦労した。だが、それを差し引いてもこの読みやすさは素晴らしい。
いくつか呼吸法なども紹介してあるが、どちらかと言えば理論の本。
でも、こんなに受け取りやすい理論の本は貴重だと思う。
今ヨガをやっている人も、興味はあるという人も、ぜひ読んでみてください。
私のアクション:自分で瞑想をやってみる
関連記事
※ヨガで真の健康を手に入れた、内澤旬子さんの本
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
心の中で他人を批判することは、自分を責めることになる(P18)
反対に、他人への批判をストップすることは、自分を大切にして、受け入れることになる。
知識を学ぶことは必要だが、その知識を役立てるのが知恵(P30)
単なる知識が、体験することで知恵に生まれ変わる。
だから、失敗を恐れて体験することを控えてはならない。失敗の体験が、もっともよい知恵となってその人の体にしみこむ。
今病気で悩んでいるなら、病気の想念(思い)を変える(P68)
今まで生きてきた人生で、一番楽しく輝いていた頃の自分を思い出すことができたら最高。
病気を治す上で大切なことは、自分の健康なイメージを、いかに自分の心に思い描くかということ。
人の失敗を願えば、自分が失敗する(P69)
ある人をほめていながら、本音の部分で「この人が成功するのは、ちょっとしゃくだ。何かで失敗すればいい」と思っている人がいるとする。すると、心の深い部分では主語のない世界なので、「失敗すればいい」という本音の言葉は、それを言った本人に降りかかってしまい、自分が失敗するような羽目になる。
「もうダメかもしれない」と思ったら、その想念は実現する時期に来ている(P81)
多くの人々は、実現する一歩手前であきらめてしまう。
失敗をくり返したくなかったら、反省をしないこと(P93)
もし失敗したら、たまたま事故に遭ってしまったと思い直し、反省することなんかやめて、その代わりに、成功している自分の姿を思い描く方が、失敗をくり返さなくてすむのだ。
思いと言動が違うと、体がゆがむ(P103)
私たちは、本当に他人の申し出や切りを断りたかったら、はっきりと断る勇気が必要だ。さもないと、いつも思っていることと口で言っていることが違ってきて、体にゆがみができて、病気になることがある。
ストレスとは、心がノーと言っているのに、口が勝手にイエスと言っている時のこと(P103)
心配癖のある人は、心配する代わりに、うまくいっている自分をイメージする(P107)
心配したら、うまく行くイメージと入れ替えると、それが習慣づいて本当にうまくゆくし、健康になる。心配をやめれば、健康になる。
朝起きたら、よい言葉を言ってみる。夜寝る前には、心をきれいにして眠りにつく(P107)
朝起きたら、よい言葉を選んで2、3回くり返して言ってみる。
「今日も元気いっぱい」や「あらゆる面で、すべてがうまく行きます」など。
寝る前には心を空っぽにして無になるのがよいが、これはむずかしい。代わりに、美しい風景をイメージする。
たとえば、小川が流れている風景。水は澄んで、日光は川底に達して小石がキラキラ光っている。そういうイメージをするだけで、心の深いところ、深層意識に、そのイメージが入る。
あるいは、旅に行った思い出の風景。目にしみる純白の山々や、鏡のような湖面のイメージでもよい。美しいイメージが、心を平和に、穏やかにする。
いつも、起きたことによい意味を与える(P113)
そうすることで、よい方へ道が開けてくる。
何をやっていいのかわからない人は(P133)
静かな時間を作って、1日1回、自分の心に問いかけなさい。そうすれば、おのずから答は与えられる。
生活上の問題で困っている人には(P133)
まず悩むことをやめなさい。そして静かになって、自分の心へ、「この問題は、すべてうまく解決しました。ありがとうございました」と言って、解答が出てくるのを待ちなさい。
ヨーガのポーズ(=アーサナ)4つのポイント(P172)
1.動作をゆっくりやる。はずみをつけたりしない
2.動作と呼吸を合わせる。
たとえば、前に体を曲げる時、動作が始まると同時に、ゆっくりと息を吐き、動作が終わったところで、息を吐き切る。反対に、息を吸う時は、動作が終わった時に、息を吸い切る。
3.動作が終わってポーズが決まった時、体の痛いところに集中する。
すると、痛みが脳細胞を占領して、その間、余分な雑念が消える。痛みに集中していると、心配事をストップさせることができる。
4.ポーズが決まってから元に戻してゆく時、筋肉や筋が突っ張っている感じから、段々ゆるんでゆく感じを、ゆっくりと感じながら行う。すると、自然に自分の体に目が向き、集中力がついてくる。
心を集中させる対象は、大好きなものを選ぶとよい(P187・194)
精神集中の対象は2つに分けられる。自分の内側にあるものと、外側にあるもの。集中する対象は、その対象が悪いものでなければ、どんなものでもかまわない。
もしうまく精神を集中できない場合は、あなたの大好きなものを、その対象に選んでみる。すると、あなたは、きっと自分でもびっくりするほど集中している自分を発見することだろう。
『ヨーガ・スートラ』の中にも「あるいは、なんでも自分の好むものを瞑想することからも、心の静澄は生ずる」と記述されている。
クーエ療法(P219)
フランスの心理療法医エミール・クーエが提唱したもの。
「日々、あらゆる面で、私はますますよくなりつつあります」という言葉を、くり返し心につぶやく。
英語:Day by day, in every way, I am getting better and better.
馬鹿のひとつ覚えのように、日々、心にくり返しつぶやくと、不思議なことにあなたの体調は日々よくなっていくことを実感できる。