毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

声から「本当の自分」になる☆☆☆☆☆

はてなつながりで、以前から時々お邪魔していた書評ブログ「琥珀色の戯言」。
そこで紹介されていて、面白そうだったので読んでみた。
「琥珀色の戯言」でのエントリはこちら

奥の深い、すごい本だった。


◆目次◆
はじめに
第1章 声とはなにか
第2章 声を作るもの
第3章 歴史と声
第4章 声を聴けば、すべてがわかる
第5章 社会と声 生きにくさの正体
第6章 自分の声とは
第7章 小ワザでひとまず悩みを解決
第8章 声の真髄、オーセンティック・ヴォイス
第9章 声のフィードバックが人を変える
第10章 声という魔法
第11章 本当の自分の声を見つければすべて変わる

著者の山崎広子さん*1は声のプロ。声の探求を始めたきっかけは、中学生の頃に失声症(文字通り、声が出ない病気)を患ったからだそうだ。
現在は音楽心理学の講師もつとめられている。
著者プロフィールはこちら角川書店のこの本の紹介ページ。プロフィールは下の方にあります)


声に関するあれこれがぎっしり詰まった本。
ポイントを言えば、

  • 自分の本物の声(=オーセンティック・ヴォイス)を知っている、出せている人は少ない

(特に声の訓練をする文化がない日本には、声のプロやテレビに出る人以外いない)

  • 本物の声は、自分で確認しながら練習して習得する以外ない

(さまざまなトレーニングを受け、ご自身も講師をされているのに、結論は「ヴォイストレーニングは必要ない」)

  • 声をオーセンティック・ヴォイスにすることで、「本当の自分」で生きていくことができる

という、シンプルなもの。

自分で練習するコツもいくつか紹介されているが、基本は
自分のしゃべる声を録音する→いいと思う声を拾う→修正する→いつもその声が出せるように練習するの繰り返し。技術的なことはほとんどない。


この本で、私が一番衝撃を受けたのは、実は「琥珀色の戯言」ではまったく触れられていない、第5章だった。
日本人女性の声は高いという。実は世界一高いのでは、と著者は書いている。
普通、背が高いほど声は低くなる(声帯の器質的な条件による)。また、年齢と共に少しずつ下がる。

しかし、日本人女性はそれにあらがっているそうだ。女性ならわかると思うが、ついついよそゆきの高い声を出しませんか?一昔前、「電話は一家に一台」だった頃、お母さんが甲高い声で「○○でございます」と出ていた、あれ。
その理由は、日本には「声が高い=女性らしい」という文化があるから。
さらに言えば、日本では「若いほどいい」という価値観があるからだと思う。

著者によれば日本のアニメの声(演じているのは大人)は10歳前後の高さだそうだ。つまり、根底にネオテニー幼形成熟)があるという。
以前読んだ『「若作りうつ」社会*2を思い出した。日本は成熟を拒否している、という説がある。


著者はここに「生きにくさ」を見る。本来の声ではなく、作り声を出すのは、まるでクレーンに吊られているようなものだ、と。地に足がつかない状態。

クレーンに吊られた時間が残すものは肉体と脳の不一致感。それを解消するために、心身は不快感に襲われます。毎日こんなことをやっていたら、そりゃ生きにくい。そかもその理由もわからず、疲労感を残したまま、また次の朝がやってくる(P123)

だから、著者はクレーンから自分を解放し、地面の上に自分の足で立つ=オーセンティック・ヴォイスを身につけることを勧めているのだ。


また、自分の声が嫌いという人は、自己否定感が強い、という話も興味深い。

…日本の中高生の自己肯定意識は諸外国の中でも圧倒的に低く、「自分は人並みの能力がある」と答えたのはアメリカの55.6%に対して日本はわずか13%。「自分はだめな人間だと思う」と答えた割合は「とても思う」と「まあ思う」の合計で日本が56%、アメリカは14.2%です(P119)。

著者は、日本の若者の自殺が多いことと、自分の声が好きになれない=自分が好きになれないことの相関関係があるのでは、と考えている。

日本では話し方を学校で教わることはないし、さらに本当の自分を押し隠し、作り声で生きていかなければならない。
これが生きにくさになり、自己評価を下げている、という説は仮説ではあるが、核心を突いているのではないか。


言い換えれば、「本物の声を手に入れれば、本当の自分で生きていけるようになる」ことになる。
最後のページの著者の言葉は心を打つ。

 「どんな場所にいても、どんな状態にあっても、自分自身でいられること」
 それが幸せの第一の条件ではないでしょうか。
 自分の本物の声を持っている人は、決して自分自身を失うことがありません。どこにいようとも地に足をつけてすっくと立ち、そこを自分の居場所にできてしまう。どこにいようとも、どんなことが起ころうとも自分の人生を生きることができるのです
(P222)。

前の3つの章は、声の歴史など理論なので、「自分の声をとにかく何とかしたい!」という人は第4章からでも大丈夫。
オーセンティック・ヴォイスを身につけるにはある程度時間がかかるので、「手っ取り早く何とかしたい!」という人は第7章の小ワザ集をどうぞ。
自分の声が嫌いな人はもちろん、生きにくさを感じるすべての人にお勧めします。
私のアクション:自分の声を録音して聞いてみる 
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

緊張した時ほど、沈黙を恐れたり焦ったりしない(P136)

聞き手は沈黙によって精神を集中する。沈黙のあとは大きな声で話す必要はない。……沈黙を味方につけよう。

本物の声とは「オーセンテイシティ=真実性」のある声(P147)

人は相手のオーセンティシティ(authenticity)を感じ取った時には、無視などできないし、心を開かざるを得ない。その音声――オーセンティック・ヴォイス――はその人の恒常性にかなった声。心身が最も自然な状態で出される、その人の根源。それは命そのものであり、その人自身の尊厳とさえいえるもの。

顎を引く(P151)

心持ち顎を引く。家で練習する時には鏡を見ながら。ほとんどの人は顎を突き出すか上げてしゃべっている。これでは喉が緊張し、声が浅く絞られてしまう。大切なことは、首や顎や肩などに無駄な力を入れないこと。鏡を見ながらやってみるとよくわかる。

声は意識して聴くだけで、聴覚と脳が「自動的に」修正してくれる(P155)

細かなことは気にしなくていい(気にするとかえって力んだり作り声になってしまう)。恥ずかしがらずに声を出しては録音する、よく聴いてその中から好きな声を探し、その声を耳に定着させる。話す時には、その声を頭の中で再生し反芻してから話す。そうやってまた録音する。ときおり自分の顎が上がっていないか、力が入っていないか、姿勢は悪くないかというフィジカルの基本をチェックする。

心身の不自然さが、不自然な声を生み出す(P159)

姿勢の悪さや呼吸の癖、話すことに対する緊張によって余分な力が入っていることで癖の強い声になったり、だみ声になったり、体格にそぐわない音程になる場合も多々ある。

オーセンティック・ヴォイスとともに、理想の自分を描く(P218)

具体的に強く。理想の自分を描いた時に、そしてそれに沿った行動をしようとした時に、引き止める自分がいる。それがマイナスの自己イメージの正体。
プラスのイメージ、つまりなりたい自分を描く。オーセンティック・ヴォイスを見つけ、そのイメージと重ねて、今までの自分の行動に支配されない行動を選ぶ。それであなたは自分自身の生き方を好きなようにプロデュースしていける。

*1:正しい表記は崎のつくりが大ではなく立

*2:すみません、読書日記はまだです