毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「人がより良く生きるための道具」とは☆☆☆

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バルミューダ 奇跡のデザイン経営
日経BP社 (2015/04/17)
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バルミューダのことを知ったのは、ネットの記事だった。
社員50名!「いいモノは高くても売れる」バルミューダ3万円の扇風機で証明/「極小家電メーカー」躍進の秘密[1]――プレジデント・オンライン

一時期流行した、「1/fゆらぎの風」機能を搭載した扇風機が好きだった私にとって、この扇風機はとても魅力的だった。
でも、読んでいくうちに扇風機以上に、バルミューダのことが知りたくなった。


探してみたら、社長の本ではないが、この本がヒット。さっそく借りて読んでみた。
知れば知るほど面白い会社だ。


◆目次◆
はじめに
【第1章】 「自己愛」を捨てれば転機は訪れる──成長市場の見つけ方
 起死回生を生んだデザイン経営/7倍でも買う「プレミアム消費者」を狙え
【第2章】 広告より「細部の詰め」に投資する──モノづくりとブランディング
 徹底した試作検証で基本性能と完成度を磨く/安っぽさを感じさせない「無垢」の樹脂
【第3章】 「謙虚さ」を知れば、成長が加速する──変化するデザインマネジメント
 家電は「ヒーロー」でなくていい/進化続けるデザイン経営
【第4章】 他人の声ではなく自分の感覚を信じる──リサーチとアイデア創出
 手書きの企画書がデザインの出発点/アイデアはマーケットリサーチから生まれない/組織の「心」と「体」を準備する
【第5章】 絶えず発信し続ける──プロモーション
 自社サイトで発信するのは「技術屋」らしさ/「世界観を伝える」広告への挑戦
【第6章】 変革のためには、立ち止まることを恐れない──イノベーションを起こす組織作り
 国産化と内製化に込めた2つの意図/IPO組織力を磨く/目指すは「イノベーションの管理」
【第7章】 寄り道、回り道は成功の糧になる──バルミューダの原点
 原点は、放浪の旅と音楽活動での挫折/独学で開いた自由なモノづくり
【第8章】 これからのモノづくりに必要なのは「人間味」──外部識者が見たバルミューダの強み
◆金井政明 良品計画代表取締役社長
『シンプルな美しさに「やられた」という気持ち』
◆和田智 SWdesign・代表
バルミューダがデザインするのは、心の奥に隠された人の記憶』
◆川上典李子
『ビジョンと行動力で次世代のリーダーに』
あとがき

バルミューダ」は、社長の寺尾玄さんが個人で興した会社。「自分が欲しいものをつくる」というコンセプトで、デザインに優れたパソコン周辺の製品を作っていた。
それが、リーマンショックで業績が悪化、起死回生の一打として作ったのが自然の風を再現した扇風機だったという。


美しいデザインにはこだわっているが、デザイン家電とは違う。
バルミューダのコンセプトは「人がより良く生きるための道具」なのだそうだ。

だから、「本当に大切なことは何か」をとことん考える。
たとえば加湿器。“タンクを外して水を入れる”という使い方に疑問を持ち、“本体に直接水を注ぐ”という、使い勝手のいいものにしたという。
家電メーカーなら水を入れやすくするためにタンクの構造を追求するが、「そもそもなぜタンクを運んで水を入れ、またセットしなければならないのか?」という本質的な疑問を大事にする。

そんな風にとことん考えられた製品は、ひとつひとつが機能的で美しい。そして、飽きずに長く使えそうなものばかりだ。
その秘密は、「五感を大切にしている」から。


「五感によって得られるよさ」を追求している寺尾社長は、日々センスを磨くために身の回りのものをよく観察するそうだ。

 「自分自身が心地よいと感じ、嬉しい気分になったとき、自分に何が生じているのかという原因を考える。例えば、陽気の良い春の日に公園に出て、団子を買って食べたとする。そこで気持ちいいなあと感じたら、その時の団子の味、匂い、木の香りや葉のさざめき、町の音や空を飛ぶ飛行機の音、足裏の感触などを覚えておく。」(P86)

この独特の感性は、「高校を中退して放浪の旅に出る」「ミュージシャンを目指して挫折」という、人とは違う体験から来るものが大きそうだ。
寺尾社長の前半生は第7章にくわしい。

こういう感覚は「一般的な生き方」をしてきた人に簡単には得られないが、上の引用部分も含め、何を捨て何を残すか、大事にするものは何かというヒントになる。
とりわけ、こういう感覚の人が作ったものはいいものに違いない、という信頼が生まれる。

最後の章に、バルミューダと関わりのある人のことばが紹介されているが、「天才」「ジョブズのようだ」という称賛も大げさに聞こえない。

この本のメイン部分(第3〜7章)を担当したライターの守山さんはあとがきで、スタートアップ企業が拡大していくプロセスは、他の人たちにも役に立つはずだ、という意味合いのことを書いている。
「いいものを作りたい」と「収益を上げる」のせめぎ合い。組織が大きくなっていく時(バルミューダは社員3人から50人に成長した)の考え方などは、参考にできそうだ。


「デザイン経営」と銘打っているだけあり、本の作りもとても美しい。もちろんバルミューダの製品やサイト、社内の様子などもたくさん紹介されているので、見る楽しみもある。


いろいろな読み方ができる本。家電オタク以外の人にもお勧めです。
ただし、バルミューダの製品がほしくなってしまうのでご注意を。
■レベル:守
私のアクション:バルミューダのザ・トースター*1を「ほしい物リスト」に書く
バルミューダ スチームオーブントースター BALMUDA The Toaster K01A-KG(ブラック)

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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

*1:この本が出た時点では発売前でした