毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

旅行とは、その土地の空気を吸うこと☆☆☆☆

雨天炎天
雨天炎天
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村上 春樹 (写真)松村 映三
新潮社(2008/02/29)
¥ 1,728
※1980年8月に出た本の新装版
※文庫版あり→『雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行 (新潮文庫)』(¥ 432)*1
この本も大阪市立図書館の書架で偶然見かけたもの。
村上ファンを名乗って長いのに、この本の存在を知らなかった。すみません。

知らなかったので、急いで借りて読んでみた。


◆目次◆
ギリシャ編>
アトス――神様のリアル・ワールド
 さよならリアル・ワールド
 アトスとはどのような世界であるのか
 ダフニからカリエへ
 カリエからスタヴロニキタ
 イヴィロン修道院
 フィセロウ修道院
 カラカル修道院
 ラヴラ修道院
 プロドロムノスキテまで
 アギア・アンナ――さらばアトス

<トルコ編>
チャイと兵隊と羊――21日間トルコ一周
 兵隊
 パンとチャイ
 トルコ
 黒海
 ホバ
 ヴァン湖
 ハッカリに向かう
 ハッカリ2
 マルボロ
 国道24号線の悪夢
 国道24号線に沿って

1988年の村上春樹さんのロードエッセイ*2。初版は1990年。
写真は今回もエイゾーさん。村上朝日堂シリーズにはよくお名前が出ていたので覚えている。

私が以前読んだ『辺境・近境』は、この本のあとに出たものだった。


前半がギリシャ編、後半がトルコ編。

ギリシャでは、アトス半島に散らばる修道院を巡る旅だ。
アトス半島とはギリシャ正教の巡礼地だそうで、本来なら熱心なギリシャ正教信者が行く場所。宗派が違っても受け入れてもらえるが、女人禁制。しかも3泊4日しか許可が下りないので、その間にどこをどう巡るかを自分で考えなければならない。
費用は最初に支払えば、各修道院での宿泊・食事代などは不要だという。


とにかく道がハード!雨に降られたり、狼(?)の足跡を発見したり。修道院は大小たくさんあり、それぞれのもてなし方も違う。「最低」と言ってもいいようなところの記述を読んでいて、「何が悲しいてそんなことを…」とツッコミを入れてしまった。
読者は読むだけだからいいが、村上さんってこんな体当たりルポのタイプだったっけ?という不思議な気持ちになった。


ギリシャのあと、トルコへ向かう。21日間周遊の旅だ。
トルコに行った理由は、昔見た映画の影響で、一度トルコを一周してみたかったから(「それだけかーい!」とまた心の中でツッコミ)。
人種もさまざま、町の雰囲気もさまざま。観光地でもないのに車でぐるっと回る村上さんとエイゾー氏。
村上さんはいわゆる観光地や、リゾート地として開発されたところにほとんど興味がなく、その土地特有の空気が色濃く感じられるところが面白かったようだ。
“映画で見た風景の中に自分が立ち、それをリアルに感じる”というのがきっと一番やりたかったことなのだろう。

ただし、観光地化していないということは、地元民以外いないので、珍しがられるか、冷たい目で見られるか、何にせよ大変だ。
情報がほとんどないので、行ってみたらかなり危険な雰囲気のところも*3
道なき道は多いし、野犬(牧羊犬が野生化?)もウロウロしているので、村上さんはトルコ旅行中、ついに一度もジョギングできなかったそうだ。


トルコで一番面白かったのが、ヴァンという町。
ヴァン湖という、浮力の強い不思議な成分の湖があり、ヴァン猫というその町にしかいない猫はその湖で泳ぐというのだ。
念願叶ってヴァン湖で泳ぐ村上さん。ヴァン猫にも無事会えたが、観光資源として絨毯屋の店先にいるらしく、絨毯とセットになっているところが悲しい。ついに泳ぐところは見られなかった。


「行ってみたい」というだけでこんな過酷な旅をしてしまう村上さん、やっぱり○ゾなんじゃないか(自分にストイックすぎるところとか)。
知っている地名も少しは出てくるが、実際に行かなければわからない*4ことがたくさん*5
こんな旅は普通の人には無理なので*6、読んで疑似体験できるのは幸せかも。


自分で計画する海外旅行が好きな人や、疑似体験したい人はどうぞ。
村上さんの筆致はクールなので淡々と書いてありますが、内容はかなりハードです。
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※この本のメモはありません

*1:アマゾンレビューの情報ですが、文庫版はこちらに比べて写真が少ないようです

*2:ということばは初めて見たのですが、旅行記の柔らかい版、ということでしょうか

*3:いわゆるマフィアや密輸など、違法なことが収入源の町など

*4:たとえば、イスタンブールはまったく魅力のない都会として書かれています

*5:トルコ人はとても親切な民族らしく、道を尋ねると車に乗り込んできて案内してくれるそう

*6:アトス半島を一緒に回らされ、誕生日まで迎えた30代の男性編集者が気の毒……