- 作者:メイソン・カリー
- 発売日: 2019/12/27
- メディア: Kindle版
以前読んだ『読書に学んだライフハック――「仕事」「生活」「心」人生の質を高める25の習慣』で紹介されていたのは『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』。
ブログ記事を書くためにライフハッカーを見に行ったら、女性編も出ていることを知りました。
www.lifehacker.jp
「わあ、こっちも面白そう」と思って読み始めてから、思い出しました。
実は『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』も、案外読むのに骨が折れたことを。
――知らない偉人が何をやっていたか、興味持てますか?
“女性”縛りがあると、さらに知らない度がアップ!難易度もアップ!
がんばって読みました。読み終えた感想は、「予想したよりも楽しく読めたな」でした。
- 「生活」と「仕事」にどう折り合いをつけたのか
- おおざっぱに分けると3つ
- 同業者同士の結婚は不利?
◆本の目次◆
はじめに
本書の構成について▶ちょっと変
オクテイヴィア・バトラー(作家)
草間彌生(芸術家)
エリザベス・ビショップ(詩人)
ピナ・バウシュ(舞踊家)
マリソル(彫刻家)
ニーナ・シモン(歌手)
ダイアン・アーバス(写真家)
▶牡蠣とシャンパン
ルイーズ・ネヴェルソン(彫刻家)
イサク・ディーネセン(作家)
ジョーゼフィン・ベイカー(ダンサー・歌手)
リリアン・ヘルマン(劇作家)
ココ・シャネル(服飾デザイナー)
エルザ・スキャパレリ(服飾デザイナー)
マーサ・グレアム(舞踊家)
エリザベス・ボウエン(作家)
フリーダ・カーロ(画家)
アグネス・デミル(振付家) ほか*1謝辞
訳者あとがき
許諾一覧
引用文献
こんな本です
『天才たちの日課』を出版したあと、著者自らが欠陥に気づいたという。
そこで取り上げた百六十一人のうち、女性は二十七人しかいなかったのだ。割合にして十七パーセント以下だ(P13-14)
というわけで、今回は全員女性。
彼女たちがクリエイティブな仕事と家庭内のごたごたや義務などをどのようにさばいているのか――わき目も振らず仕事第一で突っ走っているのか、時間を上手に配分してこなしているのか、ある種の義務はわざと無視しているのか、あるいはそういった方法を少しずつ組み合わせているのか――その点を明らかにすることが……本書のもくろみ――創造性を発揮するにはどうすればいいか悩んでいる現代の読者のヒントになる本にすること――にもつながっている(P17)。
どんな風に日々過ごしているのか、決まった時間割的なものはあるのか、仕事にどう取り組んでいるのか。
自伝や日記、今も活躍している人は直接インタビューも行い、ていねいに拾い上げてまとめてあります。
「女性だから」と一括りにされるのは好きではありませんが、女性ならではの悩みは職業にかかわらず共通しています。
自分に置き換えて読めるところもあったので、予想したより楽しく読めたのだと思います。
女性たちは「生活」と「仕事」にどう折り合いをつけたのか
著者が「はじめに」で引用したのは、スーザン・ソンタグ(作家・批評家)のことば。
人はどこかの時点で、生活(ライフ)と仕事(プロジェクト)のどちらかを選ばなければならない(P160)
このことばは、おそらく性別に関係なく発言されたものでしょう。
しかし、この本を通して読めば「女性だからこそ迫られる選択」につながる。
男性にはおよそない悩みがくり返し現れます。
古い時代の女性たち*2も多いので、今よりも性別による制限が多く、妻や母、家を切り盛りする役割を当然のように求められる。
そんな時代に創造的な活動をするのは、現代以上に高い壁がたくさんあったはずです。
そのためにどうしたのか。それぞれの闘いを読むことができます。
おおざっぱに分けると3つ
- はじめから結婚しない。子どもを持たない。あるいは、家事・育児を人に任せる
- 時間、あるいは期間を区切って家事と仕事をする(結果的に育児をする間は仕事ができなかった、というケース含む)
- 苦労はするが同時に両立させた
いろんなやり方があります。試行錯誤して変わったり、状況に応じて変えていった人も。
「17歳くらいでさっさと結婚して子どもを産み、若いうちに夫と死に別れるのが芸術家には一番いい」と言った人もいるくらいです。
これは、そうできなかった自分を踏まえて、理想を言葉にしたのだと思いますが、壮絶ですよね。
同業者同士の結婚は不利?
アーティスト同士など同業者同士の夫婦は、わかり合えるからプラスが大きいのかと思いきや、この本で言えばマイナスの方が大きそうでした。
キュリー夫妻と俳優&女優のひと組以外は、ほぼ大変なことに。
たとえば、同じくピアニストで作曲家を志すクララと結婚したシューマン。
自分が作曲中は、妻にピアノを弾くことを禁止したそうで、クララのストレスは相当なものでした。
また、作家と結婚したステラ・ボウエン(オーストラリア)という画家は、典型的な損する結婚だったようです。
夫は自分が仕事に集中できるように、毎日こまごまと自分の世話を焼かせていながら、妻がなぜ毎日きちんと仕事をしないのか不思議がったそうです…。
結局、離婚してようやく絵が描けるように。
しかし、
画家として成功した後も、人の要求を満たすことにあれほどエネルギーを注いでいなければ、もっとやれたはずだという思いはぬぐえなかった(P179)
そうです。読むだけで憤りが伝わってきます。
人生はなかなか思い通りには行かないものですが、それでも行き当たりばったりよりは、自分で「こうしたい」「ここは譲れない」と考えていた人の方が、理想に近い人生を送れたように感じました。
ざっくりでも、人生のプランは考えた方がよさそうです。
まとめ
「自分の人生をどうデザインするか」は、現代でも女性にとって大きな課題。
人生でやりたいこと、仕事と家庭のバランス、持って生まれた体力・気力の問題など、ひとりひとり違います。
でも、もがきながらみんながんばっていたんだなあ、というのが伝わり、勇気をもらえます。
「あとがき」にもありますが、具体的なアドバイスのような言葉から、人生の指針にしたいものまで、まるで金言集のように力強い言葉がたくさん詰まっています。
それぞれ求める答が得られる1冊。
私は「ひとりの時間をどう作るか」について、ヒントをもらいました。
読むのに性別は関係ありませんが、やはり女性の方が得るものは多い気がします。
ピンと来た方は読んでみてください。
私のアクション:調子の良し悪しに関係なく、とにかくPCの前に座って15分は何か書く
■レベル:破
「奇跡なんてない。あるのは自分が作るものだけ」タマラ・ド・レンピッカ(画家)——『天才たちの日課 女性編』女性が創造的な活動を制限されてきた時代、彼女たちはどう生き抜いたか。たくさんのヒントと勇気がもらえます #読了 #本が好き #フィルムアート社 pic.twitter.com/1mamM7Aiby
— やすこ (@yasuko659) 2021年1月23日
次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモのスタンスはこちら
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