毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

目からウロコ!正しい「時間管理」の考え方☆☆☆☆☆

たまたまネットで見つけた「タスクシュート」という時間管理術。何冊か本も読んでいる「シゴタノ!」の大橋悦夫さんが開発した、考え抜かれたシステムだというので興味を持った。

ただ、(無料お試し版もありますが)購入すると6千円+税。それなりに覚悟の要るお値段だ。
「タスクシュート」について本が出ていると知り、まずは仕組みを知ってから、と図書館にリクエストして入れてもらった。

時間術の概念が全く違い、その説得力にただただ感銘を受けた。
「そりゃあ、がんばってもうまくいくはずなかったんだわ」と納得。

◆目次◆
はじめに
1 なぜか時間が足りなくなる4つの原因
2 「タスクシュート時間術」で時間のムダを劇的に減らす
3 割り込みに振り回されないためにすべきこと
4 先送りを繰り返して時間を失わない技術
5 脱・完璧主義の考え方
おわりに
付録1 TaskChute誕生秘話
付録2 TaskChuteの情報源

どんな時間術なのかをひとことで言えば

…「なにをしているのかがわからない時間」というものをなくすべきなのです。

「休憩まで含めて、あらゆる時間帯をシミュレーションし、ログを残していくようにする」

 それが、タスクシュート式時間管理術です(P106)。

なので、ライフログに取り組んでいる人か、興味のある人向きだと思う。

 

いかにして、時間を効率よく使うか。タスクシュート式では、次の4つを改善して「時間がない!」状態から抜け出すことを狙う。

時間節約の方針4(P206)
1.時間をムダにしない
2.割り込み仕事を可能な限りブロックする
3.先送りしないようにする
4.仕事を完璧にやろうとしない

この4つについて、それぞれ第2章から第5章で対策を紹介している。誰でもひとつふたつは必ず持っているクセを、当てはまる章を読んで改善するだけでも、かなり大きな違いが出るはずだ。

 

具体的にはまずこの5項目から。

タスクシュート式時間術で時間のムダを劇的に減らす5項目(P68)=第2章
1.1日の時間をまずシミュレートすることで、集中して仕事に取り組む
2.「とりあえず」やらずに1日トータルの時間を有効に配分する
3.シミュレーションでできること、できないことを見極める
4.シミュレーションのベースとなるタスク時間を正しく見積もれるようになる
5.やるべきすべての活動をなんとかやりぬくための時間調節をする

その後、頼まれた仕事を断れない人、先送りを繰り返す人、完璧主義がこうじて仕事が進まない人の対策も提示されている。

 

とにかくたとえ話が秀逸だ。
細かい1分単位の見積りに抵抗を感じる人へのカーナビの比喩や、仕事に使うならただの「チェックリスト」よりも「レシピ」*1。このふたつにも感心したが、私たちが今までしていた時間管理がいかに無茶苦茶だったかを「空間」と「家具」にたとえたところは、読んで吹き出してしまった。

まず、部屋に家具が入るかどうか。入ったとしても、部屋いっぱいに家具があったら不便で生活できない。
これを「時間」と「仕事」に置き換えて考えればわかる、という。

これが「空間と家具」だと、すぐ納得されます。しかし、「時間と仕事」になると、「本気でやればできる」とか「実行時間を明らかにすればできる」とか「手帳に書けばできる」といった、意味不明の言説がまかりとおるようになります。…「本気で入れれば、ベッドルームに入りきらないベッドでも入れられる」とは、だれも思わないでしょう(P127)。

だから、おおまかにでもかかる時間を見積もり、それを積み上げて実現可能かどうか検討してみることが大切なのだ。
「1日の仕事として考えていた量を全部書き出して計算してみたら、6日分になってしまった」
という笑えない話も、セミナーなどでよくあるそうだ。
1日は24時間。どうがんばっても伸ばしたり増やすことはできない。

 

また、下のメモにもあるが、“先送りとは「今すぐやるべきことの前に、休憩を入れること」”という言葉はとても耳が痛かった。
和田秀樹さんの本にも「好きなこと・やりたいことはごほうびに」するよう書いてあったが、人は休憩直後が一番頭が働くので、大きな仕事の間に休憩をはさむのがもっとも効率がいいそうだ。何もしていないのに先に休憩を取るのは、時間泥棒みたいなものだ。

 

他にも、現実を見せられて愕然とすることが何度もあった。もう、「はは〜、お説ごもっとも」と平身低頭してしまいそうだった。
くわしくは下のメモをご覧ください。

 

ブクログのレビューに、「商品を売るための本?」という言葉があったが、タスクシュートを買わなくても、時間に対する考え方や見積もり方法が変わるだけでも充分価値があると思う。
「じゃあこの方法を実践するには?」と考えると、結局「タスクシュート使ってみたい!」になっちゃうんですけどね。

 

久しぶりにワクワクする本でした。無料版(機能は一部制限されていますが、使い続けることは可能)でもいいや、と思える方はぜひ。
私のアクション:「タスクシュート」を使ってみる


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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

締切時間の前にも締切がある(P17)

(飛行機に乗る場合、「フライトの時刻は11:00ちょうど!もう10:54なのにまだ搭乗手続きが完了していない!」と慌てる例)
最終の締切時刻“以外”の時刻を、無視している。
 フライトは11:00でも、その前に搭乗手続き、その前に朝食、その前に空港まで移動、と「連続する行動」が並んでいる。
「フライト時刻」だけではなく、「搭乗手続き」「朝食」「移動」それぞれの「締切時刻」も押さえておくべき。
 →「フライト時刻」に間に合わせるための、一連のタスクは「連続した予定」として考える

日頃から繰り返していることをつい優先しているうちに時間がなくなる(P21)

何の気なしに「ふだんから繰り返している行動」を優先的に行ってしまう。
理由は「繰り返していることは、やりやすいから」

繰り返しやっていることを、優先順位も考えないまま取り組んでしまうのを、まずガマンしてみる。

「とりあえず片づくこと」ばかり片づけているうちに、時間がなくなる(P22)

「現状維持コスト」をまず考える(P26)

日々生きていくだけでお金がかかるのと同じように、日々生きていくだけで必要な時間、現状維持に必要なリソースがある。

「脱線」は「自分への割り込み」、ダメージは大きい(P36)

仕事のための調べものをしているつもりが、気がつくとあまり関係のないサイトをサーフィンしてしまったりするのが、典型的な「脱線」。

「脱線」はある意味「自分への割り込み」。本来自分がやっていることに対して、「違う行動が注意を奪う」ことになるため。

人は「緊張が高まりすぎると、行動を起こせなくなる」(P45)

間に合わないかも、という不安を鎮めるには仕事をするしかない(P48)

対応方法は色々あるが、結局は仕事をするしかない。仕事をしないから不安になる。そしてその不安は、時間がなくなるほど大きくなるに決まっている。

優先順位はつけない(P64)

タスクシュート式では「優先順位づけ」はしない。「仕事はやった順にしか終わらない」から。どんなに厳密に優先順位をつけても、その順番にやらなければ(できなければ)、結局は優先順位を裏切ることになる。

安心できない状態に置かれると、私たちは不安を紛らわすためによけいなことをやって、さらに時間をムダにする(P70)

タスクは開始したい時に開始し、見積は適当に(P95)

・タスクの見積時間は、正確である必要はない
・タスクの開始時間は、事前には決まっていない

予定どおりに行かなくても、シミュレーションする意味(P98)

1.「そもそもそんな行動が取れっこない」と事前にわかる
全部足してみたら70時間かかる、と出れば、無茶な計画だと気づく
2.自分の感覚とのズレがわかる
・「ちゃんと仕上げるには30分はかけなければならない」と思っていた仕事→記録を取ったら10分かからなかった
・「こんな仕事にたいそうな時間はかけられない」と思っていた仕事→記録を取ったら40分かかっていた
繰り返すうちに見積の精度が上がってゆく→時間の使い方が上手くなる

1日は「行動」+「休憩」でできている(P128)

テレビにタンスをくっつけないように、部屋をものでぎっしり埋めたら、部屋は使えなくなる。同じように、1日を活動でぎっしり埋めたら、1日は使えなくなる。

「部屋」が「家具」+「空き空間」でできているように、「1日」は「行動」+「休憩」でできている。「今日やることリスト」を列挙しても、それが「今日」という「部屋」に入りきるかどうかは、「休憩」までカウントに入れないと判断できない。

何かを始める以上、そのことを事前に書く必要がある(P136)

ログを正確に取るために、必ず守るルール

「ネットサーフィンに逃避する」とはどういうことか(P137)

ネットサーフィンを1分やれば1分、5分やれば5分、10分やれば10分、お昼の時間は遅くなる。それは、そのまま帰宅する時間も、眠る時間も遅くなることにつながる。「現実逃避する」とはそういうこと。

1日に一度は「今日のタスクリスト」を作り上げる(P140)

その狙いは「計画されたタスク」と「割り込んできたタスク」をはっきり分けること。

先送りとは「今すぐやるべきことの前に、休憩を入れること」(P144)

つまり、「仕事を前に進めることなく、時間を使うことを増やす」こと。
これは、借金をして贅沢品を買うようなもの。時間がなくなって当然。

「朝」の「休憩直後」をムダにしない(P157)

タスクシュートでは、AやB(朝早い時間帯に設定したセクション)の時間帯に休憩時間をあえて多く設け、その上で「大物」を倒す時間帯にする。

朝は「1セクションに1タスク」で済ませるようにし、代わりに「そこで大きなタスクはやり抜いてしまう」方針にしている。

・朝にはなるべく大物を。
・朝でも夕方でもできるものは、なるべく夕方へ。

先送りを避けるための最も有効な方法は、「毎日同じように過ごす」こと(P177)

同じ時間帯に、同じことを繰り返せば、効率的に、スピーディにこなせるようになっていく。

*1:順序とそれぞれの行程にかかる時間が大切、ということです