たまたま何度か記事を見かけ、本も出版されていることを知って面白そう、と思っていたらタイミングよく家族が借りて来たので読んでみた。
ちまちま節約するタイプの本とはアプローチが違う、新鮮で説得力のある内容だった。
◆目次◆
はじめに なぜ、あなたの「貯金生活」はうまくいかないのか?
序章 現代の「貯金のリアル」
第1章 外資系コンサルタントが大切にする貯金の基本
第2章 夢と目標をつなぐ貯金体質
第3章 お金の貯まる戦略とロードマップ
第4章 貯金のための資産運用
第5章 実録! 外資系コンサルタントの貯金生活
著者は外資系コンサルティング会社出身。ある事情(後述します)でお金を貯める必要に直面し、自分の知識をもとにフレームワークやロジカルシンキングを使って目標を達成しようと考えたそうだ。
目標は「夫婦で10年で1億円」。7年経った時点で貯蓄額は7千万と、きちんと計画通りに進んでいるという。
「お金のことはファイナンシャルプランナーが一番くわしい、専門家に相談すればいい」というのが一般的な考え方だが、著者はそれに異を唱えている。
……いわゆる「貯金本」を読んで、目標通りにお金を貯められた方はどのくらいいるのでしょう?
ここに貯金生活が続かない理由があります。他人のノウハウをそのまま真似てもうもくいきません。本に書かれている施策をやみくもに実践しても非効率です。
なぜなら、あなたにはあなたの「生活環境」と「生活スタイル」があるからです(P4)。
ここで、コンサルタントの考え方が必要になってくる。著者は「あなた自身の目的と環境に最適化された貯金の戦略」を立て、それを実行することが大切だとして、「オーダーメイドの貯金生活を組み立てる」ことを勧めている。
使う手法は
・マッキンゼーの7Sを使った「貯金体質の確認」
・企業ピラミッドを使った「目標・戦略・計画作り」
・ロジックツリーを使った「最適なお金の増やし方・支出の減らし方」
・PDCAに立脚した「計画の進め方」
など、コンサルティング系の本を読んだらよく目にするものばかりだ。
第5章に「著者の貯金生活実録」が載っているので、実際どんな風に取り組んだのかを知りたい人は、この章から読むといい。
私が印象に残ったのは、「PDCAサイクルを使う」という考え方。
もちろん家計簿をつけることは勧めているが、家計簿をつけるのが目的ではなく、“状況を把握して改善ポイントを見つけるための情報収集”が目的。
これも「はじめにアウトプットありき」のコンサルタントの考え方だろう。「家計簿をつける」ことで満足してしまいがちなので、大きな発見だった。
ちなみに、「お金の増やし方」について、この本ではあまり具体的な方法は紹介されていない。著者は「ローリスク・ローリターンが一番」と考えていて、インデックスファンド中心に投資しているそうだ。
この本で新しいのは、「夫婦でお金を貯める」だと思う。
著者夫婦がお金を貯める決意をしたのは、奥さんが「出身地の沖縄に戻りたい、夫婦で移住したい」と言い出したのがきっかけだ。
著者はいろいろと調べてその夢を受け入れ、具体的な金額をはじき出したのが「10年で1億円貯めれば実現可能」だったという。
とはいえ、夫婦どちらもコンサルタントで今のところ子どもはなし、という貯金するには恵まれた状況と言える。
そもそも年に1千万貯めるには、1千万以上の世帯収入が必要*1なわけで、それを考えれば一般的な人がそのまま参考にできる例ではない。
ただ、著者も「あなたも年に1千万貯められる!」と言っているわけではなく、自分の目標をきちんと見据えて具体的なプランを考えましょう、と提案しているので、がっかりすることはない。
著者の体感では「パートナーとの二人三脚」は貯金する上で強みになるそうだ。パートナーとうまく合意形成ができていなければ失敗することが多いとも。
共通の夢がある方にはいい方法だと思う。
「お金を貯める=節約」と考えて、つい電気を消して回るとか、もやしレシピを増やすとかそういう細かい方向に行ってしまいがちだが、こんな風に合理的に考える方法もあるんだ、と見方を変えられる。
人は目標がないとなかなか動けない。自分の夢を叶えるきっかけがほしい人はぜひ読んでみてください。
私のアクション:家計簿を「分析するための情報収集」と考えて項目を減らす
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
9割の人が計画通りお金を貯められない理由(P33)
1.目的が決まっておらず、具体的な目標値に展開されていない
2.現実的なプランがなく、意志の力だけでがんばっている
3.実行した結果を振り返らず、改善策を打てていない
家計簿で管理すべき項目(P105)
・収入
・食費
・衣服費
・住居費
・水道光熱費
・医療費/生活用品費
・通信費
・交通費
・教養娯楽費
・交際費
・保険料/税金
・その他支出
・(+1項目)
※+1項目は、お金のかかる趣味や毎月大きく変動する教育費などがある場合に使う。ただし、項目が増えると管理が大変になるので、13以下に納める
家計簿を1週間分まとめてつけるためのポイント(P107)
1.レシートや領収書を必ずもらう
2.目的以外の商品を購入しない
※項目がまたがるレシートを減らせば家計簿をつけるのが楽になる
(ドラッグストアに薬を買いに行き、ついでにお菓子を買うなど)
一番簡単な資産管理簿の作り方(P116)
1.現金
2.預金
3.貯蓄型保険
4.有価証券(株、投資信託、債券、小切手、商品券など)
5.自宅
6.自動車・バイク
7.不動産(自宅以外)
8.その他(貴金属など)
これらについて、現時点の価値(現在売った場合の金額)を記載する。
借金としてリスト化するもの
1.住宅ローン
2.自動車ローン
3.教育ローン
4.奨学金
5.カードローン
6.その他
資産管理簿の資産から借金を差し引いて純資産を算出する
家計の強さ=純資産=資産-借金
目標を数値化する3ステップ(P128)
1.「夢にかかる費用」を数値化する
2.「いつまでに実現したいか」を数値化する
3.「必要な貯金額」を数値化する
ポイントは「きつすぎず、楽すぎず」
*1:現在は投資などもされているので、貯金がすべて収入から回したものではないようですが