毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

[読書日記]9割の買い物は不要である☆☆☆

家族が借りてきた本。
ずいぶん前ですが、著者の本『9割の人間は行動経済学のカモである ―非合理な心をつかみ、合理的に顧客を動かす』を昔読んだことがあり、面白かった記憶が。


行動経済学は興味のある分野。今回も楽しく読めました。


  • ポイント1 人は損失を回避したい
  • ポイント2 「3つの選択肢」を自分で作る
  • ポイント3 適正在庫は企業に学ぶ



◆本の目次◆
第1章 ネットの買い物で失敗しないコツとは?~便利そうで意外と不便?リアルより得するおススメの買い方
第2章 「損したくない」という人ほど損している~「損した」と思うと、その2倍は「得した」気分が必要になる
第3章 買い物での選択で間違えないポイント~「どうしようかな?」と迷ったときに頼れるエビデンス
第4章 絶対に後悔したくない「大きい買い物」~家、保険、ギャンブル…大金が動くときに使える知識

こんな本です

著者は30年以上、マーケティングの仕事に携わってきたプロ。
主に、一般消費者向けに、あらゆる業種の企業、官公庁や自治体などが商品やサービスを売る手伝いをしてきたそうです。

本書は「よりよい買い物」の本です。
(中略)
人は、自分で選んだものやサービスを使い……自分自身の人生を豊かで充実したものにすることができます。買い物は、自分自身の幸せにつながる前向きな行動であり、真剣に取り組むべきもの(P4-5)

しかし、知識がないために、売り手の狙い通り行動してしまったり、失敗しがち。

人間心理を把握し、よりよい行動につなげるために有効な学問(P7)

「よりよい買い物」のための武器が「行動経済学」です。


ネットショッピング、メルカリやサブスク、さらには家や保険などの大きな買い物からギャンブルまで、何かを“買う”時に失敗しないための知識と行動のしかたまで、ていねいに教えてくれる本。


出てくる法則は山ほどあるのですが、ここでは私が「これは!」と思ったことをご紹介します。

ポイント1 人は損失を回避したい

2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンらが解明した、人が損を避けようと強く望む「損失回避の心理」というものがあります。

◇人は、目先の利益にこだわって、むやみに現状を維持しようと試み、損を取り戻そうと不要なリスクを冒します。結果的に、長期的な得を得られずに終わる(P7)

これを知っているだけでも、買い物の失敗はぐんと下がります。


たとえば「返品無料サービス」。合わなければ返せると思うと、気楽に注文できる。
しかし、自分の手もとに届くと、徐々に愛着が湧き「保有効果」が生まれてしまいます。

返品が損失に感じられるようになり、「損失回避の心理」が働いた結果、返品できなくなってしまうのです。
(もうひとつ、「返報性の法則」というものも関わってくるのですが、ここでは省略)


しかも、「保有効果」はポイントサービスにも発動するというのだから、危険。


ポイントサービスは買い手に対して「有形無形の保有物」を提供するしくみです。

1.収集で増えていくポイントそのもの
2.買い手個人のステータス
3.得をするチャンス

実は、ポイント以外にも保有しているんですね。

買い手は、「ポイント」「ステイタス」「チャンス」の3つについて、保有していない他人からは理解できないほど、高い価値を感じるそうです。


売り手が買い手の「無意識の心理」に仕掛けるケースは増えています。それも、巧妙になっているので厄介です。


本当に自分にとって得なのか、考えてから行動する癖をつけたい。
――たとえば、自分がほしい商品は3500円の時。「5000円以上購入で500円引きのクーポン」を使うために、あと1500円の品物を必死で探すのは、本当にお得でしょうか?


冷静に考えれば
「いや、あんまりおトクじゃないかも」
と思いますが、
自分が買おうと思っている時。
しかも、今日だけ、とかタイムセールであと何時間だけ、と言われたら焦りませんか?

こういうのは、たいてい売り手の思うツボなのです。

ポイント2 「3つの選択肢」を自分で作る

こちらも有名な「極端回避性」。

用語としては知らなくても、
「3つの選択肢があると、人は中間を選びたくなる」
話だと言えば、
「ああ、あれね」
とわかる方も多いのではないでしょうか。


本ではカメラの例が出ていますが、ここではわかりやすく「レストランのランチの価格」にします。
※パーセンテージは本のまま引用しています

■コースがA(1500円)B(2500円)の2種類だった場合、注文はほぼ50%ずつに分かれる

■これに、C(3500円)が加わり、3つの選択肢になると
A 22%
B 57%
C 21%
となり、中間の選択肢がほかの2倍以上の人気に。

このため、「本当に売りたい商品が中間に来るように、選択肢を3つ用意する」という売り手もあります。
※ランチの選択肢を3つにする話は、ある経営コンサルタントの方から聞いた話(値段は忘れたので今考えました)。


この罠にはまらないための著者のおすすめは「自分で選択肢を作る」こと。

自分で選ぶのだから3つにする必要はありません。
購入候補となる複数の商品を選び、グループを作ればいいそうです。

候補グループ作りも、そこからの選択も、自分の都合や好み、その商品の購入に費やせる時間と労力をふまえて、自由に決めればよい(P176)

ここでのポイントは、情報収集に時間と労力をかけ過ぎないこと。


webサイトを見続けると、時間の割に有効な情報を得られない結果になりがちなので、ほどほどに。
候補を集め過ぎると、自ら「決定麻痺」を招きかねません。

調べるうちに、その商品に関するある程度の「相場感」ができることを目指します。


こうやって自らほしいものの候補を絞り込めば、お仕着せの松竹梅セット*1で、特に欲しくもない真ん中の商品をうっかり買わされることもなくなります。

ポイント3 適正在庫は企業に学ぶ

個人的に、ああなるほど、と思ったのがこちら。
「買いすぎを防ぐために、企業の財務チェックを参考にしましょう」という話です。


当然ですが、企業では、倉庫に残った在庫の量も確認しています。

一般消費者の家庭においても、買ったけど使われていない商品は、企業の不良在庫と同じです。企業の購買から学べることは、買い物は単にお金を払って終わりではなく、買ったものの行方、管理まで含めて考えるべき(P101)

あまり一般的ではないかもしれませんが、以前仕事で、一部商品の仕入れを任されていた経験のある私には、大変リアルな学びでした。


担当していた時は、毎月末に、現在庫がいくらあるのか金額で報告させられました。
今思えば、あれはコストに計上していたんだなーと。

当時はよくわかっていなかったので、担当になりたての頃にガンガン仕入れしていたら、「適正在庫金額」をオーバーしたらしく、上から怒られました。
それなら「このくらいの金額に収めてね」とはじめから言えと


我が家は賃貸なので、在庫金額に加えて管理コスト(家賃)もかかっています。
化粧品やシャンプーなどは送料無料(!)とか値引き(!)のために、まとめ買いしがち。


チェックしたことがないのでわかりませんが、ン万円くらいの在庫金額はありそう…検討の余地が*2
「必要なものを、必要なタイミングで、必要な量だけ買う」という考え方は家庭にも必要。

まとめ

具体例が豊富なので、自分の弱点がよくわかります。
ここでは触れませんでしたが、特に、大きな買い物(家と保険)予定の方は必読です。

ただ、専門用語がたくさん出てくるので、慣れていないとちょっと読みにくいかも。
勉強中の学生さんには、いい副読本になりそうです。


私のアクション:ポチる前に「保有効果/損失回避の罠」にはまっていないか自問する
■レベル:守 



次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモのスタンスはこちら
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*1:3つの価格帯の選択肢なので、私はこう呼んでいます。ついつい、竹を選んじゃうんですよね

*2:著者は必要で、使うことがわかっているものなら「まとめ買い推奨」です。すべてのまとめ買いを否定しているわけではありません