ものごとを“こうあってほしい”という視点ではなく、まるで地図を描くように“俯瞰的”にとらえようとする考え方
- ポイント1 俯瞰的に見る「マッピング思考」
- ポイント2 脳は都合よく解釈するようにできている
- ポイント3 アイデンティティはできるだけ軽く
◆目次◆
はじめに バイアスのワナから抜け出し、判断の精度・確度を上げる「マッピング思考」■PART1 なぜ「マッピング思考」が重要なのか
1章 人生を左右する「2種類の考え方」
2章 99%の人が「自分の壁」を壊せない
3章「真実を見抜く目」を身につける方法■PART2「思考の地図」を検証し、行動する
4章 知性の高い人がおちいる「認知バイアス」
5章 物事を「メタに見る」5つのトレーニング
6章「最適解」を、さらに1歩引いて見る■PART3「ピンチ」で問われる資質
7章 いざというとき「ポジティブ思考」に頼らない
8章 それでも賭ける価値があるか
9章「謙虚さ」が強烈な影響力をもたらす■PART4 「頭のなか」をアップデートする
10章 「正しく」間違える方法
11章 「漏れ」「欠け」「穴」の見極め方
12章 「エコーチェンバー」という怠惰な誘惑■PART5「私の意見」を軽くしておく
13章 「思考」はいかに「その人自身」になるのか
14章 「こだわり」を捨て、「視点」をしなやかに保つ
15章 「マッピング思考」は“行動のエンジン”おわりに 地図を描くように、視点を大きく、高く持つ
ポイント1 俯瞰的に見る「マッピング思考」
著者によれば、私たちは一般的に「兵士の守りの思考」に陥りやすいといいます。
自分の考えを脅かす敵を片っ端からつぶしていく、これが「動機のある推論」、著者の言う「兵士の守りの思考」です。
これに対し、身につけるべきなのは「偵察者のマッピング思考」。
戦場の地形図を作るように、全体を見てから戦いの駒を進める、これが「正確性による推論」、すなわち「偵察者のマッピング思考」。
「マッピング思考」とは…
自分自身と世界を認識する「地図」を、できるだけ正確に作成していくマインドセット(P37)
この思考を持つ人には「自分の考えの正しさを脅かす事実」…は存在しない。
新しい事実は古い地図を修正できるチャンスであり、自分のためになる(P38)
常に俯瞰的に見ようと心がける。
そして、自分の中の地図と世界を認識する地図ができるだけズレないようにする。
それが、著者の提唱する「マッピング思考」です。
ポイント2 脳は都合よく解釈するようにできている
5万年前の私たちの祖先は、部族や家族の強い縛りの中で生活していました。
職業も選べないし、求められる役割通り生きるしかない、それが当たり前でした。
現代では、はるかに選択肢が増えています。
職業、どこに住むか、誰と交際し、結婚するか、子どもを持つかどうかなど、さまざまなことを自由に選べる。
しかし、自由に選択できるようになったのは、せいぜい数十年。選ぶことすら考えられなかった時代の方がはるかに長い。
「現実を変える」という選択肢を持たなかった人類の脳が、事実をねじ曲げて自分の都合のいいように物事を解釈するように進化したのも無理はない(P84)。
つまり、脳は「全体を俯瞰的に見てよりよい選択肢を選ぶ」ようにできていないのです。
むしろ、何もしなければ「事実を都合よく解釈する」ようにできている。
だから、意識してマッピング思考を身につけた方がいい、というのが著者の主張です。
『スマホ脳』でも似たようなことが書かれていましたが、脳は現代にまだ適応できていないため、いろんなところに弊害が出ているんですね。
ポイント3 アイデンティティはできるだけ軽く
この本でもっとも新鮮だったのが、この考え方。
政治や宗教について話題にしてはいけない、というのは話し方の本では定番のエチケットです。
著者はその理由を
政治的・宗教的な見解は、その人のアイデンティティの一部であることが多いから(P331)
だとしています。
自分のアイデンティティの一部になっている考え方を批判されたら、反感を覚えるのは当然。
敵認定されることもあり得ます。
ある考えに同意するのと、それを自分のアイデンティティの一部と見なすのは同じではない(P332)
「アイデンティティを軽く保つ」とは、それを自分の人生のプライドや意味の中心に据えず、「単なる1つの事実」と見なすこと(P350)
「ある考え」と「自分のアイデンティティ」を分けておけば、カッとなることが減り、SNSの論争に身を投じることも少なくなります。
さらに、自分の意見の違う人とも交流が増えるそうです。
身の処し方として、とてもスマートですよね。
感想
サブタイトルは「人には見えていないことが見えてくる『メタ論理トレーニング』」。メタ認知の一部と思ってください。
ただ、期待したほど具体的なトレーニングがなかったような…。
思い込み、バイアスがいかに認知を歪めるか、がテーマと思った方がいい気がします。
なので、個人的にはあまり新しい情報はなかったかな、と感じました。
訳は読みやすく、分厚さの割に難読本ではありません(個人の感想です)。
「思考とアイデンティティを分ける」を具体的にどうするか、などもう少し深く掘り下げてほしかった。
目次だけ見るとわかりませんが、PART4、5はかなりあっさり流されておしまい、という印象でした。
こんな人にオススメ
■レベル:破 視点は面白い
「認知の歪み」について読むのが初めて、という人はいいかもしれません。
脳科学の本を多数読んでいる人は、知っていることの方が多いのでは?
私のアクション:自分のまちがいを気楽に認め、アップデートだと考える
「科学の世界で、新しい発見を告げる最もエキサイティングな言葉は、“わかった!”ではなく、“なにかがおかしいぞ…”だ」(アイザック・アシモフ)
— やすこ (@yasuko659) 2022年11月13日
——
違和感に気づいた時、流さずにキャッチできると、ずいぶん生きやすくなるはず
『マッピング思考』#読了 #本が好き #東洋経済新報社 pic.twitter.com/YQFP3EYJDo
次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモのスタンスはこちら
※メモは近日中にUPします!
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