毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

心の鎮静剤にどうぞ☆☆☆☆

ベストセラーとなった『怒らないこと』『怒らないこと2』をまとめたものだそうだ。
上の2冊を読んでいないので何とも言えないが、これ1冊で読んでもわかりやすく、スーッと心を鎮静してくれる本だった。


 

◆目次◆
本書の使い方
はじめに
怒りの種類診断表
01 「怒り」をよく見てみよう
02 怒りはあなた次第
03 怒りの代償
04 怒りが生まれる瞬間
05 自我に気づけば怒りが消える
06 本当の道徳を理解する
07 笑いは怒りを退治する
08 他人の怒りをもらわない
09 怒りの完全克服へ向けて
付録 慈悲の瞑想

グリーンの2色刷*1で横書きなので、とても読みやすい。しりあがり寿さんのイラストもあり、文字ばかりの新書とはずいぶん印象が違うのではないだろうか。
日本人なのに情けない話だが、「横書き」をこんなに楽に感じるとは。

 

怒りにはさまざまなものがあり、仏教では基本的な怒りと、その発展型9つの計10バターンに分類するという。
その中には、嫉妬や後悔など、ふつうの感覚では怒りと感じないものも含まれる。
そして、その根底には「八苦」がある。

 理性のある人なら、八苦*2を観察した方が良いのです。それから、不可能を可能にしようとする、あり得ないことを期待し続ける、という叶いようのない努力はいい加減に止めて、落ち着くことです。……すべての現象を微笑んで受け止めることにしましょう(P9)。

欲も怒りとワンセットであり、さまざまな期待も結果的に怒りの素になる。いろいろな執着や囚われの気持ちをどんどん手放せば、結果的に怒らなくなるのかな、という印象を持った。

 無執着の心とは、その都度その都度、やるべきことをしっかりやる。過去の出来事を背負わないのです。今行うべきことで、精一杯生きてみるのです。常に明るく生きていられます。過去をきれいサッパリ忘れてしまうという意味ではありません。過去を感情的に背負わないということです(P56)。


怒りはまず直視することから。大きな怒りになる前に気づく方法など、具体的なやり方が解説されている。

また、怒りは伝染するので、自分の怒りを人にうつさないことも責任だが、人の怒りの影響を受けないことも、自分の責任だという。

そして、最後に行き着くのは「無常」。
「すべてのことは変化するんだから、まあしょうがないよね」と思えば、怒らなくなるという。

小池龍之介さんの本でも感じたが、原始仏教とは脳科学とつながっている面があるようだ。怒りとは原始脳*3の恐怖感から来ている、という説には深く納得した。

 

これを読めば、いかに怒りが体にも、人生にも悪いかがよくわかる。
そして、読み進むうちにたいていの怒りは不思議に消えていくのだ。何のワークもまだしていないのに。

最近怒る人が増えている(自分も含めて)気がするので、周囲に怒りをまき散らさないためにも、人からもらわないためにも、ぜひ読んでみてください。

※この本の直後にベースとなる2冊も借りたので、後ほど違いなどを追記予定です
※『怒らないこと』『怒らないこと2』を読んで感じたこと(2015.08.26追記)
この本があとに出ていますが、入門編として最初に読むのが一番スムーズだと思います。「新書2冊の内容をまとめたもの」と言うものの、この本では新たにスマナサーラ長老が書かれたページも多く、3冊読んでも実はあまり「同じことを読んだ」印象はありません*4

怒りの10種類については2冊とも(特に2でくわしく)取り上げられているので、この本でイラストを見て理解しておくと、しっかり頭に入るはず。

最近よくある「実践編」とは違うので、「同じことしか書いてなかった」というガッカリ感はありません。
私のアクション:失敗したら、笑いにする

 

 

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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

感情にはどんどん強くなる性質がある(P23)

「楽しくない」「嫌だ」「つまらない」という「怒り」を放っておくと、気持ちはしだいに高まっていく。怒りは暗いものと知って、少しでも心が暗くなったら気づいて、どうにかしてそれ以上、暗くならないように、明るく保つように工夫する。

怒りの気づき方(P25)

自分が怒っているか確かめたい時に、「今、私は楽しいか?」と自分に問いかけてみる。もし答が「楽しくない」「つまらない」「嫌だ」なら、心の中に怒りがある。

「怒りとは、喜びがない状態」「喜びとは、怒りがない状態」(P25)

何であれ否定的なものは「怒り」、肯定的なものは「喜び」。まずは大きくふたつに分けて、気づいていくようにすると、怒りの初期状態に気づきやすくなる。

「怒り」に早めに気づく(P25)

「心に喜びがない」と感じたら、「怒り」があるのではないかと、胸に手を当ててみるのもよい。
怒りは、放っておいたらどんどん育って、心も人生も真っ暗にしてしまう危険性がある。そうならないためには、まずは早めに怒りに気づくことが大切。気づけば、正しく対処できる。

原始脳にはものごとを危険視するバイアスがプログラムされている(P27)

「今、私は楽しいですか?明るいですか?気分がよいですか?」と自分に聞いてみる。否定的な答になったら、診断は「怒りに支配されている」だが、気にしないでよい。それは原始脳の否定的バイアスの働きだからだ。

次に、その暗い気持ち、落ち込みの気持ちを、しっかり感じ取ってみる。怒りの感情は自分自身の本来の気持ちではなく、外から入り込んでこびりついたヘドロとして感じ取る。そうすれば、治そうと意識しなくても、心は治る。明るくなる。

過去のことについて悩んでも、解決方法はない(P41)

後悔は必ず、人を不幸・苦難へ運ぶ確実な乗り物。いったん乗ってしまえば、終着駅は決まっている。

すべては完璧に不完全である(P43)

この世の中にあるありとあらゆるすべてのものは不完全。それが本来の姿。だから完璧。

脳に幸福をインプットする(P46)

他人にどう思われてもかまわないから、よく笑うことにする。最初は無理にでも笑ってみる。どんどん頭が笑うことに慣れていく。自然に笑顔が出るようになる。それから脳が「何でも面白い」というバイアスでものごとを見るようになるので、怒らなくなる。

怒りの炎をすぐに消す(P54)

放火犯人にならない。もし何かの理由であなたの心に怒りが起きたら、燃え広がる前に火種を消す。

許せない心は今を暗くする(P55)

過ぎたことはもう終わったこと。いつまでもとらわれていては、大切にすべき「今」を汚れた心で過ごすことになる。つねに「今、私は怒っていますか?」とチェックし、もし怒りがあれば気づいて火種を消す。そして、明るい気持ちで目の前のやるべきことに集中する。

他人の怒りを受け取らない(P62)

誰かが手榴弾のピンを抜いて呑み込んだら、どうするか?どうすることもできない。できるだけ遠くに逃げた方がよい。
衝撃波を受けないようにするのはあなたの責任。
「あなたは怒りに狂っている。怒りを爆発させている。だからこそ私は怒らないようにする。被害を受けないようにする」という言葉を心に刻む。

微妙で弱い怒りに気づく(P71)

怒りを発見する訓練をする。出かける準備をする時、電車の中、街を歩いている時、仕事中も、微妙に嫌な気分になることがある。そのたびに、「これは怒りだ」と確認する。
何の悪さもしない微妙で弱い怒りを、みんな無視してしまう。だから大惨事になる。
小さいうちに気づけば、人生で激怒したために失敗することはなくなる。

意見を述べる時に感情を混ぜない(P76)

怒ってしゃべるということは、意見を述べる時に感情を混ぜている。感情が先走ると、自分の意見を正しく伝えられない。聞く人も感情で反応するので、理性を失う。自分が正しく意見を述べても、相手は正しく理解しない。

意見と感情は分けて述べればよい。
怒っている時には素直に「私は怒っています」とまず発表して、それから冷静にその理由を述べる。

期待には自我が絡んでいる(P86)

慢性的な病気にかかっているなら、いかに病気とつき合うか学ぶもの。期待とどのようにつき合うか学べばよい。
→期待が現れるたびに、叶えられるものと叶えられないものに分けてみる。
叶えられる期待だけ抱いて精進する。これでけっこう楽になる。管理不可能な無数の期待がガクンと減る。

怒ってもすぐに笑ってしまえばよい(P104)

「何があろうとも笑うんだ」と決めて、怒ってもすぐに笑う。笑いと怒りは正反対の性格。それで怒りの大部分は消えてしまう。

いつも笑うために、「自分のことを笑う」(P105)

自分の1日の生活を観察すると、失敗したこと、やってはいけないのにやってしまったこと、やるべきなのにやらなかったことがある。これらは怒りの栄養剤。ふつうは「ああ、嫌だ」という怒りの感情になる。
しかし、ここで笑ってみる。

ものごとが多面的に見えるのは智慧(P107)

ひとつの見方しかできなければ怒りでも、見方を変えれば笑える。結局は、笑いも修業になる。

相手がかんかんに怒っている時でも、ニコッと笑う(P116)

そうすると、相手も怒るのを止めて、やがてニコッと笑う。
人が怒っていても自分が怒らないでいれば、簡単に幸福のエネルギーを作ることができる。

*1:口絵ページはカラーです

*2:生・老・病・死の四苦に、愛別離苦(あいべつりく)・怨憎会苦(おんぞうえく)・求不得苦(ぐふとくく)・五蘊盛苦(ごうんじょうく)を加えて八苦。解説はP7にあります

*3:いわゆる「は虫類脳」のことだと思います

*4:もちろん伝えたいことは同じですが、表現のしかたや例が少しずつ違うので、飽きません