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[読書日記]直感と論理をつなぐ思考法 ☆☆☆☆

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

  • 作者:佐宗 邦威
  • 発売日: 2019/03/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

妄想は得意。でも、その妄想を現実化するのは苦手です。
もっと言うと「プロセスに落とし込む」というのがまったくできません。


そういう悩みを解決する方法はないものか、と思っていたらこの本のタイトルをネットで見かけました。
何の事前情報もないまま、えいやっと図書館で借りました。

とても刺激的な、面白い本でした。図書館にあってよかった。


  • ポイント1 他人モードから自分モードへ
  • ポイント2 ビジョン思考とは?
  • ポイント3 まず描く、議論はそれから



◆本の目次◆
はじめに 「単なる妄想」と「価値あるアイデア」のあいだ

第1章 「直感と論理」をめぐる世界の地図
第2章 最も人間らしく考える
第3章 すべては「妄想」からはじまる
第4章 世界を複雑なまま「知覚」せよ
第5章 凡庸さを克服する「組替」の技法
第6章 「表現」しなきゃ思考じゃない!
終章 「妄想」が世界を変える?

おわりに 夢が無形資産を動かす時代

こんな本です

著者の佐宗さんはこんな人
※一覧ページなので、佐宗さんの写真をクリックしてください

最初はP&Gで従来のマーケティングに携わる。デザインを学ぶためにイリノイ州工科大学に留学ののち、ソニーなどを経て独立。

「デザイン」と「戦略」という、矛盾するように見えるふたつを結びつけ、ブランドや企業の「妄想」を「具現化」する仕事を手がけている方です。


今までの「顧客ニーズを掘り起こす」という手法はもう時代遅れ、ということにいち早く気づき、「イシュー・ドリブン」(問題解決)から「ビジョン・ドリブン」(ビジョンを現実化)への移行を提案したのがこの本。

ベースになっているのは、京都造形芸術大学で行われた「妄想を具現化する技法」というワークショップです。


デザインの勉強をした人だから、アイデアがどんどん出てくる右脳優位な人かと思ったら違うそう。
1時間ブレストしてもアイデアが2-3個しか出なかったこともあったとか。


左脳優位な人でも、絵心がなくてもできる方法だというので、「デザイン系のことは苦手」という方も安心です。

ポイント1 他人モードから自分モードへ

「自分モードにならないと、妄想もできない」と、佐宗さんは書いています。

仕事とは基本的に「他人モード」。周りの期待に応える、人から受け取った情報に反応する能力ばかり鍛えることになってしまいます。

普通に生きていると、僕たちの脳はずっと「他人モード」になっており、「自分がどう感じるか」よりも、「どうすれば他人が満足するか」ばかり考えている(P2)

すると、次第に「自分」が感じられなくなってしまうのだそうです。

他人が抱える問題の解決ばかりに夢中になっていると、「誰の役にも立たないけれど、自分にとって大切なこと」が視界から消えていく。人の役に立つのがうれしいと思って続けていると、いつのまにか「自分がなくなっている」ことに気づく(P53)。

自分が何がしたいのか、自分がどう思うのかがわからなくなっていませんか?
そこで簡単な解決法として登場するのが「モーニング・ジャーナル」です。


妄想が原動力なのに、妄想できなければ始まりません。
第一のステップは毎朝「モーニング・ジャーナル」を書いて、「自分モードを取り戻す」こと。


――この「モーニング・ジャーナル」、何とアーティストウェイの「モーニング・ページ」とほとんど同じです。
「元ネタが何か」ということは特に書かれていませんが、私が注目したのは
こんなビジネス書に「モーニング・ページ」が出てくるんだ!
ということでした。

新版 ずっとやりたかったことを、やりなさい。』(原題『アーティスト・ウェイ』、取り組むワークのこともそのまま呼ばれることが多い)は素晴らしい本ですが、あのワークを12週間やるのは大変です(モーニング・ページはワークの一部)。

しかも、神とか創造主といった存在がいきなり登場するので、誰にでも気軽に勧められる本ではありません。


この本ならもっと気軽に取り組めるし、人にも勧めやすいなあ、とうれしくなりました。
くわしくは「おまけ」の項目にまとめたので、興味のある方はそちらをどうぞ。

ポイント2 ビジョン思考とは?

世の中の見通しがつきにくくなってきた、というのがここ数年の世界の常識のようです。

もとはダボス会議で出た「VUCAワールド」ということば*1

  • Volatility(変動)
  • Uncertainly(不確実)
  • Complexity(複雑)
  • Ambiguity(曖昧)

今までの戦略では追いつけないほど、世の中が変わってきたのだそうです。
「いかに答を探すか」ではなく「そもそも答などない」時代に。


今まで「これが正解」と思って続けてきたことは、もはや通用しなくなっています。
その混沌とした世界を著したのが「4つの世界の図」
advanced.massmedian.co.jp

この記事の中ほどに絵があります。最初に見た時は衝撃的すぎて、笑ってしまいました。


マトリックスが立体化した図で、以下の4つに分かれています。

  1. カイゼン思考=PDCAによる効率化を目指す
  2. 戦略思考=論理に基づき勝利を追い求める
  3. デザイン思考=創造的問題解決
  4. ビジョン思考=妄想を駆動力にして創造する


「個人的な関心からスタートして創造性をドライブさせる思考法」を、著者は「ビジョン思考」と呼んでいます。

「これがやりたい!」「こんな世の中になったらいいな」という、現実不可能な妄想からスタート。

妄想で終わらないためには、具体的な「かたち」に落とし込み、周囲を納得させていくステップが不可欠。


そのステップが
妄想→知覚→組替→表現
です。

2章~5章で、それぞれのプロセスがていねいに解説されています。

ポイント3 まず描く、議論はそれから

何か新しい生み出そうとする時に、つい考えることから始めてしまいがち。


佐宗さんが勧めるのは「まず手を動かす」こと。
「手を動かして考える」ことを「プロトタイピング」と呼ぶそうです。

プロトタイピングにおいては、まず具体的に試作品をつくる「表現」のプロセスが最初に来る。そして、その成果物を前にしながら議論を行い、再度、より完成度の高いプロトタイプを生み出していく(P216)

まず作り、そこから思考も加速。
Lモード(言語脳)とRモード(イメージ脳)を行き来する。

RモードとLモードを「反復」すると、スピーディに具体化する(P217)

そうですよ。

イタレーション(反復)が「手で考える」のカギ。
与えられた時間の中で、どれだけ「具体化→フィードバック→具体化」を繰り返せるかが勝負です。


いきなり考えるのではなく、
インスピレーションが降りてきていきなり完成品が作られるのでもなく、
「作る」と「考える」をくり返し積み上げて、いいものが作られていくんですね。

まとめ

ビジネス、教育、ライフデザインの3つの分野で使える考え方。
決してマーケティングや、企画などの限られた分野のためのものではありません。


言われた通りのことはできても、「自分で考える」ことに弱い、日本人の武器になる本と言えます。


ワークショップがベースなので、本来は順番にワークをやりながら読み進める本。
まとめてみましたが、読んでやってみないと感じられないところもたくさんあります。

興味のある方は、ぜひ実際に読んで手を動かしてみてください。

【おまけ】感情アウトプットを練習する――モーニング・ジャーナル(P111-113)

※「はじめに」に登場する友人のエピソードがわかりやすい。
それを読んだあとに解説ページ(P111-113)を読むのがおすすめです。

■毎日決まった時間に書く。毎朝の仕事前がおすすめ(これをモーニング・ジャーナリングという)だが、なるべく続けやすい時間帯ならいつでもかまわない

■人に見せないことが大前提。他人の目があるブログやSNSではなく、持ち運びが簡単なコンパクトサイズのノートがいい

■毎日、決まったページ数を書くようにする。「毎日2ページを埋める」と決めたら、なるべくそれを守る

■お気に入りのペンで手書きする。手書きには集中力を高めたり、心を整えたりする効果も期待できる。ふだんキーボードばかりに向かっている人にはとくにおすすめ

■最低でも1か月続ける。これくらい継続すると、かなりしっかりと効果を実感できる

■一番とっつきやすいのは「感情ジャーナリング」
自分がいやだと思ったこと、うれしかったこと、どうにも気になっていることなどを、ありのままに書いていく。本当は辛かったのに我慢していたこと、じつは後悔していること、心の奥底に溜めている他人への悪口や嫉妬心などなど、マイナス感情が出てきても抑え込む必要はない。ただし、ジャーナルの最後は必ずポジティブな感情で締めくくるようにすると、日々の充足感が高まる

■ノートは「ハードカバー」「ポケットサイズ」がおすすめ
 ・測量野帳
 ・モレスキンA6・無地


私のアクション:絵を描いてメモする
■レベル:離 




次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモのスタンスはこちら
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【関連記事】「アイデアを形にする」をテーマにした本

■森岡さんは著者のP&G時代の先輩です
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☆モーニング・ページはこちら
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*1:会議では2016年に登場。元は軍事用語で、目に見えない予測不能な環境で戦わなければいけなくなった、という状況を指すようです