毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

理論的根拠のあるメンタルトレーニング法☆☆☆

 

そのメンタルコーチが書いた本、どんな内容か興味が湧いたので読んでみた。
ラグビーファンじゃなくても、有益な本だった。


 

◆目次◆
はじめに――メンタルコーチという仕事
第1章 最高のパフォーマンスを発揮するためのメンタルスキル
第2章 自分に自信をつけるためのメンタルスキル
第3章 目標を達成するためのメンタルスキル
第4章 困ったときのメンタルスキル
第5章 受け止め方を変えるメンタルスキル
おわりに――ラグビー日本代表がもたらしたもの

この本での著者の肩書きは「前ラクビー日本代表メンタルコーチ」。本業は大学の准教授で、専門はスポーツ心理学だそうだ。
あの「五郎丸ポーズ」を考えた人、と言えばわかりやすいだろう。

あれは「お祈りのポーズ」でも何でもなく、正しくは「プレ・パフォーマンス・ルーティン」と呼ばれるもので、キックの成功率を上げるため、著者と五郎丸選手が一緒に考え、3年がかりで習得したものだという。

第1章で、このプレ・パフォーマンス・ルーティンについてくわしく解説してある。プレ・パフォーマンス・ルーティンがもたらす効果は4つあるそうで、私が驚いたのは「自分がトライしたあとにすぐキックを蹴ることになっても、ルーティンを始めると同時に過去の出来事(トライしたこと)をシャットダウンし、心拍数も下がる」という事実。
その動作をすることで、身体が「今からこのプレーをするのだな」と理解して、そのための準備に入る、というのはわかるが、ルーティンをやるだけで直前のことも忘れて集中できる、というのはすごい。
しかも、もし1本はずしたとしても、プレ・パフォーマンス・ルーティンのおかげで、続けて失敗することはほぼないそうだ。動作の中に調整する箇所があるのだとか。
3年かけて作り上げるだけの価値があるものなのだ、と納得。

 

著者はアメリカで長年スポーツ心理学を研究し、シンガポールなど海外で教えていたこともあるアカデミックな人だ。
あとがきにもあったが、日本代表のエディ前コーチがメンタルコーチを探す時に「学問をベースに心理学を研究していること」を条件のひとつに挙げていたそうで、「学術的」というのが著者のアイデンティティのようだ。この本全体にも「学問的裏づけ」がかなり出てきて*1、理論的根拠がないものは否定。確かに世に出回るコーチングの本は玉石混淆だが、ちょっと鼻につくところがあったので☆は3にした(内容だけなら☆4でした)。

何をどう考えればいいパフォーマンスができるのか、という事例が豊富。ラグビー日本代表以外にもさまざまな選手の例なども出てくるので、スポーツをやっている人には役に立つし、社会人にも応用できるところが多い。

 

個人的には「目標設定」のやり方が役に立った。著者によれば、「きちんと達成できる目標が作れない人は、スキルがない」そうで、それも訓練が必要なようだ。
ここでも完全主義は逆効果と書かれていて、いかに実現可能な目標に設定するか、やることを絞るか、という例は参考になる。

紹介されているいろいろな方法は、自分の傾向を知る*2のが最初のステップで、記録して、気づき、そこからコントロールしていく、というプロセスは共通だ。それが身につけられればいろいろと応用できそうだ。

 

印象に残ったのはまえがきのことば。

 メンタルコーチの仕事は何かと聞かれれば、
「スキル、道具を増やすこと」
そう答えます。
 不安であったなら、なにか壁にぶつかっているのなら、なんらかの道具、ツールを使って、不安を軽減するなり、コントロールするなりしてアスリート自身がそれとつき合っていく。……そのためのツールを教えてあげる。増やしてあげる――それがメンタルコーチの役割だと私は思っているのです(P9)。

メンタルコーチといえば、生き方全体にアプローチするとか、人そのものに働きかけるイメージがあったが、著者のやり方は「ツール」なんだ、というのが新鮮だった。

 

きっと、ラグビーファンならもっと面白く読めたんだろう、というところもあったが*3ラグビーファンだけに読ませておくのはもったいない。
不安やパニックになりやすい、メンタルが弱くて結果が出せない、と悩んでいる人はぜひ読んでみてください。

私のアクション:実現可能な目標を設定する
■レベル:守 

 

次の記事は私の個人的メモです。興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

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*1:ただし参考文献リストなどはなし

*2:自分がどんな時パニックになるのか、キレる時のスイッチは何なのか、どんな時いいパフォーマンスができるのか、など

*3:選手の名前もたくさん出てくるし、この試合の前にこんなことが、というエピソードもあります