毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

モネの一生をたどる☆☆☆☆

モネ―印象派の誕生 (「知の再発見」双書)
シルヴィ・パタン著
高階秀爾監修/村上伸子、渡辺隆司
創元社(「知の再発見」双書67)(1997/06)
¥ 1,728
創元社の「知の再発見」双書シリーズ『ピサロ』が面白かったので、モネも借りてみた。
印象派の画家の中でも一番好きなモネ。たくさん本も読んだし、だいたいわかっていると思っていたが、ずいぶんいろんな発見があった。


◆目次◆
第1章 入選と落選
第2章 「印象派」の誕生
第3章 モネの見たパリ
第4章 「セーヌ河岸、ヴェトゥイユにて」
第5章 素晴らしき土地、シヴェルニー
第6章 「連作」の時代
第7章 最後のメッセージ『睡蓮』
資料編 モネ、人と作品

このシリーズの他の本と同様、丹念に時代を追って行く構成だ。モネの場合は、私が大まかな流れを知っているからか、絵に関してはまったくぶれない人生だったからか、とても読みやすかった*1


手紙がこの本でも重要なポイントになっている。
文面から察するに、モネはとても誠実な性格だったようだ。あれほどの人気を得られたのは、絵の実力はもちろんだが、その人柄がたくさんの人を惹きつけたのだろう。資料編には画家や画商、文学者から政治家まで、さまざまな人たちとの書簡が載っている。先に亡くなったマネや印象派の画家たちのために尽力していて、長いつきあいの人が多いのもうなずける。

その一方で、自分の絵を高く売ることには長けていたようだ*2


一番多かったのが、2番目の妻・アリスへの手紙だ。これは意外だった。
今までに読んだ、絵のついでに触れられているモネの生涯は簡単にまとめると
パトロン・オシュデの妻であったアリスと出会う→最初の妻・カミーユとの仲が疎遠に→カミーユ死去→残された子どもの世話を口実に、アリスとその子どもと同居*3→オシュデ氏死去→アリスと結婚という流れだったので、「女性にだらしがない芸術家気質」なのかと思っていた。

だが、モネは絵を描きに出た旅先からこまめにアリスに手紙を送っている。詳細な絵のブランなどの話と一緒に、愛の言葉がたくさん書かれているのだ。
さらに、これは結婚後だと思うが、ジヴェルニーの庭の手入れをこと細かにアリスに頼む手紙も紹介されている。ジヴェルニーで幸せに暮らしていた様子が感じられ、今まで「寂しく死んだカミーユがかわいそう」と思っていたが、ちょっと見方が変わった*4


肝心の絵も、これだけきちんと時代に沿って見るのは初めてで、何を狙って描いたのか、その時関心があったのはどんなことだったのか、解説があるので新たな発見がたくさんあった。

中でも、連作をいくつかまとめて載せてあるのは圧巻だった。
ピサロが先に読んだ本の中で、息子への手紙に「モネの連作はまとめて見ることに価値があるのだから、個展をやっているうちに見に来るように。終わったら売られてバラバラになってしまう」と書いてある意味がよくわかった。私たちが今日、モネの連作を何枚も並べて見ることはほぼ不可能なので*5

季節ごとに描かれたもの、時間の違い、微妙な角度の違いなど、さまざまな連作がある。連作と知らずに展覧会で見ていたものもいくつかあった。

睡蓮の絵がどんな風に変わっていったのか、白内障手術の前と後の変化などもわかり、とても興味深かった。


立体的にモネの生涯をたどることができる良書。展覧会の楽しみ方が何倍にも増えます。
私のアクション:モネの絵を、時代順に見られる画集を探す
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※この本のメモはありません

*1:ダヴィンチはかなり大変だったので

*2:同じ画商に対してピサロは強く出ることができず、自分の商才のなさを手紙でよく嘆いていました

*3:もとはオシュデ一家と同居していたようですが、オシュデ氏が仕事で家を出たあとも、アリスが自らの意志でとどまったらしい

*4:カミーユの亡くなった朝に描いた「死の床のカミーユ」という絵についてモネが書いた文章(おそらく友人への手紙)も紹介されています。読むと胸を打たれます

*5:過去に私が見た展覧会だと、せいぜい3枚まで